■見どころ3「足尾山塊と稜線歩き」
阿世潟から阿世潟峠までは軽い登りが20分程度続く。阿世潟峠の尾根に出ると、半月山(はんげつざん)と社山へ向かう分岐になるので社山方向に進もう。
ここまでは道も整備されているので歩きやすいが、この先は稜線歩きとなるため、足元には注意が必要だ。
阿世潟峠から社山の山頂までは、右側に中禅寺湖と男体山、左側に足尾山塊が常に見えて眺めがよい稜線歩きとなる。
ここでの見どころは、進行方向にはきれいな尾根が続き、左右を見渡せばパノラマの景色が味わえる気持ちのよい景色である。
笹が多く、ところどころ道をふさぐほど。滑りやすい場所もあるので、景色ばかりに目を奪われず、しっかり足元に注意して進もう。
阿世潟峠から約1時間30分ほどで社山の山頂に到着だ。山頂の眺望はあまり期待できないが、少し先に進むと開けた場所があるので、足尾の山々を眺めながら食事をとることも可能だ。
■見どころ4「天空の奥日光」
帰りは同じ道を辿るが、ここからが一番の見どころであり、社山の魅力が一気に伝わる瞬間だ。稜線を下る間、常に中禅寺湖と男体山が視界に入り、まるで天空の道を駆け下りているかのような錯覚となる。
男体山の方が標高は高いはずだが、なぜか見下ろしている感覚があり、中禅寺湖の青さと男体山の緑が映えたすばらしい景色を堪能できる。この感覚は、登山歴20年の筆者でもここ社山でしか味わったことがない、特別な景色だ。
頂上から阿世潟峠までのコースタイムは1時間程度だが、登山者のほとんどが帰りはカメラを構える回数が増えるため、コースタイムを大幅に超えてのんびりと下山を楽しんでいる。
■復路での注意点
阿世潟峠の分岐は、阿世潟方面への下りと半月峠方面への登りの分岐となっている。半月峠方面へ行き、半月山の展望台を経由して駐車場へ戻ることも可能だが、半月山への道のりはかなりの急登が待ち受けており、体力も必要となる。
初心者や体力に自信のない方は無理をせずに阿世潟方面に下り、もと来た道を戻るのがいいだろう。登山では無理、無茶は禁物だ。
阿世潟まで戻ると、先ほどまで眼下に見下ろしていた中禅寺湖が目の前に広がり、湖の大きさを改めて感じる。ここまでくれば湖畔をぐるりと戻って、駐車場へ戻れば全行程終了だ。
■感動を誰かに伝えたくなる程の絶景コース
同行者がいれば、帰りには「景色がすごかったね!」など、笑顔で会話が弾むはずだ。ソロの方は、帰ってから家族や登山仲間、友人にこの感動を伝えたくなること間違いなし。この感動を伝えるその時間、楽しさも登山の魅力の一つであると筆者は感じている。
奥日光の社山でしか体験できない景色と感動を、ぜひ次回登山の候補の一つに考えてみてはいかがだろう。
●【MAP】社山
・住所 〒321-1661 栃木県日光市中宮祠
【ルートタイム】
県営歌ヶ浜第一駐車場⇒(65分)⇒阿世潟⇒(20分)⇒阿世潟峠⇒(60分)⇒
社山山頂⇒(40分)⇒阿世潟峠⇒(15分)⇒阿世潟⇒(65分)⇒県営歌ヶ浜第一駐車場