■美しい日本の道。全長約1.8kmに渡る「竹の径」

竹の径(南側)の入口

 出発地点の向日神社から北に25分ほど歩くと、竹の径の入口に到着だ。ここから全長約1.8kmの竹林が続く。嵐山の「竹林の小径」の全長が約400mであり、その長さは圧倒的だ。

静かな竹林に心が安らぐ

 真っ直ぐに空へと伸びる竹が美しい。街歩きで汗ばんだ体には、凛とした空気が広がる竹林がとても涼しく、気持ちよく感じた。

 向日市は、もともと良質な筍の産地で「たけのこの里」としても有名な場所。平成12年に景観保全のために整備して作られたのが、この「竹の径」で、植えられているのはすべて向日市特産の「孟宗竹(もうそうちく)」だ。

波のようなデザインの「海道垣」

 歩く際は、竹垣にも注目してほしい。さまざまなデザインの竹垣は全8種類。竹の枝を束ねた「竹穂垣」や古墳の形をイメージした「古墳垣」、波のようなデザインの「海道垣」など、それぞれのデザインコンセプトを読みながら歩くのがまた楽しい。

 10月にはライトアップイベント「竹の径・かぐやの夕べ」が開催され、幻想的な竹林が体感できる。

■洛西竹林公園で、竹の魅力を深掘り

竹細工や様々な種類の竹が展示されている竹の資料館

 竹林の径に来たなら必ず立ち寄ってほしいのが、北側に位置する洛西竹林公園内の「竹の資料館」と「生態園」である。

 竹の資料館には、竹の特徴や使われ方などの歴史を紐解くパネルをはじめ、建築や装飾品などに用いられる京都産の「京銘竹」の展示、京都八幡のマダケを使って作られた世界初の竹フィラメントであるエジソン電球、茶道具や扇子といった工芸品など、普段じっくりと見ることのない竹の世界が繰り広げられている。

上から見下ろす生態園と資料館

 隣接する生態園には全国各地さまざまな種類の竹が植林されており、一口に「竹」と言ってもこんなにも種類がたくさんあるのか! と驚かされるほどだ。

 また、竹だけではなく、応仁の乱の発端となった百々橋(どどばし)や、織田信長にまつわる石仏を安置した石仏群など、歴史的な史跡があるというのも大きな魅力である。

旧二条城の石垣に使ったとされる石仏

 見応えたっぷりの施設だが、入館料は無料。今まで知り得なかった竹の魅力を発見できる2つの施設。ぜひハイキングの休憩がてら、ゆっくり堪能してほしい。

 向日市の穴場スポットめぐりは、街に眠る歴史に触れ、日本の竹の魅力を再発見するハイキングとなった。これから暑い夏、涼しくも美しい竹林に癒されに行ってみてはいかがだろうか。

 

【ルートタイム】
西向日駅から向日神社(15分)→向日神社から竹の径(25分)→竹の径を抜けて洛西竹林公園(15分)→ 洛西竹林公園から洛西口駅(25分) トータル1時間20分

●京都市洛西竹林公園

住所:京都府京都市西京区大枝北福西町2丁目300-3

公式サイト:https://chikurin-park.com/

■【MAP】向日神社 京都府向日市向日町北山

■【MAP】竹の径 京都府向日市寺戸町中野

■【MAP】京都市洛西竹林公園

※この記事の情報は2024年6月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。