■中山寺奥之院から夫婦岩を経由して、中山寺へ

中山寺奥之院参道にあった石垣。中山寺がここにあった戦国時代の物だろうか。(撮影:野口宣存)
中山寺奥之院参道(撮影:野口宣存)
中山寺奥之院参道にある町石。享保とあるから江戸時代後期のものだ(撮影:野口宣存)

 中山寺奥之院からは、中山寺奥之院参道を下る。中山寺の御詠歌は「野をもすぎ里をもゆきて中山の寺へ参るは後の世のため」だ。先述の花山法皇が詠まれた歌らしい。参道にある江戸時代の町石(ちょういし)を見ると、いろんな時代の人がこの道をたどりお参りしていた様子が浮かんでくるようだ。

中山寺奥之院参道からの眺望。手前の茶色い屋根がかの有名な宝塚大劇場、奥の丸い山が甲山だ(撮影:野口宣存)
夫婦岩(撮影:野口宣存)
夫婦岩の異国情緒あふれる仏像(撮影:野口宣存)

 参道を下ると夫婦岩という2つの巨岩が現れ、ここから左の脇道に入るとすぐに東屋が現れる。東屋はきれいな木造。とても居心地がよい。東屋の前からは大阪平野を見渡せるスポットとなっている。

夫婦岩展望台の東屋(撮影:野口宣存)
夫婦岩展望台から大阪平野を見下ろす(撮影:野口宣存)
夫婦岩展望台に転がっている岩(撮影:野口宣存)

 夫婦岩から参道を下っても下山できるが、今回は東屋から足洗川(あしあらいがわ)渓谷沿いの登山道に合流するルートを選択した。合流地点は渓谷が眺められるルートより下なのだが、涼しいに違いないと思ったからだ。足洗川渓谷沿いまで来ると案の定、涼しかったのだが、誤算だったのは、東屋から足洗川渓谷合流地点までの間、メマトイが大量にいてうっとうしかったことである。メマトイとは顔の周りをしつこく飛び続けるコバエだ。メマトイは動物の涙をなめて養分を摂るらしい。

夫婦岩から足洗川渓谷へ下る。メマトイが多くて不快(撮影:野口宣存)
夫婦岩から下ってくるルートと足洗川渓谷沿いのルートの合流点(撮影:野口宣存)
涼しい足洗川渓谷沿いを下る(撮影:野口宣存)

 足洗川渓谷沿いを下っていくと、中山寺奥之院参道も合流する北中山公園に至る。

足洗川渓谷と、中山寺奥之院参道が合流する北中山公園(撮影:野口宣存)

 そして、北中山公園出口を左に足洗川渓谷まで下り、橋を渡ってさらに進む。すると中山寺墓地を経由して、日本初の観音霊場である中山寺の境内に到着する。かなり広い寺だが、しっかりお参りしておこう。

中山寺境内(撮影:野口宣存)
中山寺(撮影:野口宣存)
阪急宝塚線中山観音駅(撮影:野口宣存)

 なお阪急中山観音駅は、中山寺の真向かいだ。

大本山 中山寺
住所:〒665-8588 兵庫県宝塚市中山寺2-11-1

【公式サイト】https://www.nakayamadera.or.jp/

●【MAP】大本山 中山寺

阪急宝塚線中山観音駅
住所:〒665-0861 兵庫県宝塚市中山寺1-13

●【MAP】中山観音駅

■中山連山への行き方

 中山連山を縦走するなら、今回筆者が歩いた阪急山本駅から阪急中山観音駅の、反時計回りコースがおすすめだ。なぜなら宝塚ロックガーデンの下りはやや危ないからだ。また、中山連山東側はアップダウンが多いが、西側はアップダウンが少ないため、体力の配分がしやすいというのもある。

 体力に自信がない人は、バスで住宅地の上のほうまで行き、標高を稼いでおいてから最寄りの登山口から登るのもアリだ。

 中山連山の魅力は、体力や経験に合わせてルートを組みやすいところにもある。これからもっと暑くなるので、無理をせず山を楽しもう。