日本百名山の一つ「阿蘇山」は、熊本県阿蘇地方にある火山の山。カルデラと中央火口丘と呼ばれる小型火山、「高岳」「中岳」「烏帽子岳」「杵島岳(きしまだけ)」「根子岳」で構成され「阿蘇五岳」とも呼ばれる。
そのうちの一座、「中岳」には噴火警戒レベルが1となったときだけ火口を間近に見ながら歩けるルートがある。
この記事では 2022年6月中旬、噴火警戒レベル1となったタイミングで筆者が実際に歩いたルートを紹介したい。噴煙を上げる迫力ある火口が間近に見られ、中岳と高岳の二座をまわれるおすすめのルートだ。
■2024年4月26日より、噴火警戒レベル1となり大迫力な火口を間近に見る
2024年4月26日に、噴火警戒レベル1となった。レベル1では活火山であることに留意しての登山が可能になり、中岳火口近くの登山道へ立ち入りができ、噴煙が上がる火口を間近に見られるルートを歩ける。
阿蘇山の最近の噴火は、2021年10月。火砕流を伴う噴火が発生し、噴煙の高さは上空3,500mまで達した。以来、火山活動は高まった状態だ。
噴火警戒レベル2でも入山は可能だが、火口から約1km以内の立ち入りが禁止され、火口付近の登山道の通行は不可。阿蘇山の迫力ある火口を間近に見るには、レベル1となったときがタイミングだ。
■仙酔峡〜高岳
無料駐車場とトイレ、避難壕のある「仙酔峡(せんすいきょう)」から登山をスタートする。仙酔峡はツツジの一種であるミヤマキリシマが有名で、毎年5月上旬から下旬にかけて「仙酔峡つつじ祭り」が開催される。ミヤマキリシマが咲くころは多くの登山者や観光客で賑わうが、花の時季も終わった仙酔峡は、平日だったこともあり、登山者の数も少なかった。
午前9時、ヘルメットを被り登山スタート。高岳、中岳は噴火に備えてヘルメット装着が推奨されている。
単純な急坂のため、通称「バカ尾根」と呼ばれる体力勝負の仙酔尾根を登っていく。登山道ははっきりとしていて、整備もされているので道迷いの心配は少ない。
仙酔尾根は上部になるにつれて火山岩の岩場と変わる。急坂の岩場で、岩に描かれた印を頼りに登っていく。手足を使った三点支持が必要な箇所もあり、下山には使用したくないルートだ。豊かだった植生も登るにつれてなくなり、岩や土の色は赤茶けているものの、アルプスの岩場を登っているような雰囲気だ。
高岳火口壁が見えてきたら、稜線まであと少し。高岳への登りを終えると、あとはなだらかな稜線歩きとなるので、ここが頑張りどころだ。
稜線に出ると、展望のよいゆるやかな登山道を通って高岳山頂へ向かう。10分ほどで360度の大展望をもつ阿蘇五岳の最高点・高岳(1,592m)に到着する。