標高の低い、低山ハイキングは、高山と違って「とにかく暑い」というイメージがあり、夏には敬遠されがちだが、今回は暑い夏にも「涼」を感じられる低山ハイキングが楽しめる山を紹介する。

 向かったのは、滋賀県大津市にある標高354mの長等山(ながらやま)。目指すのは、長等山の山頂近くにある「長等山テラス」と「千石岩(せんごくいわ)」。駅から片道1時間程度のコースで、山は緩やかな登山道なので初心者にもおすすめだ。

 山上から見る琵琶湖の眺望はもちろん、歴史深い神社仏閣、迫力たっぷりの巨岩など、見所が満載のハイキングコースとなっている。

■最寄駅は、JR大津京駅

皇子が丘公園のツツジ

 ハイキングの出発地点は、JR湖西線大津京駅から約20分歩いた場所にある早尾神社(はやおじんじゃ)。筆者は電車で訪れたが、早尾神社のそばにある皇子が丘公園には駐車場も隣接しており、車で訪れても心配ない。

国道161号に架かる歩道橋

 皇子が丘公園を抜けたら、国道161号に架かる歩道橋を渡って早尾神社へ向かう。ここが神社への参道となる。

■早尾神社「山上不動堂本堂」を参拝

早尾神社の鳥居

 歩道橋を渡ると石段と鳥居が見えてきた。すぐそこに国道があるとは思えない静かな場所だ。

早尾神社の本殿

 早尾神社の始まりは貞観(じょうがん)年間(859〜877年)とされており、1000年以上の歴史を持つ神社だ。本殿には素戔嗚尊(スサノオノミコト)が祀られ、穴場的な神社で人も少なく、登山客と見られる人がぱらぱらと参拝に訪れていた。

山上不動堂本堂でひと休み

 本殿を出て右手にある階段を下りていくと、そこには山上不動堂(やまかみふどうどう)が鎮座している。元慶(がんぎょう)年間(877〜885)に智証大師円珍(ちしょうだいしえんちん)によって開基され、本尊は本堂の奥の磨崖仏(まがいぶつ)。

滝行場の奥に祀られた不動明王像

 磨崖仏を見ることはできないが、山間にひっそりと佇む神秘的な佇まいは、思わずずっと眺めていたくなるほど。すぐ隣を流れる川のせせらぎや滝行場の空気も涼やかで心地よい。暑い夏にエネルギーをチャージするのに最適な場所で、参拝客が数人ベンチに腰掛けていた。ここでしばらくのんびりと涼を楽しむのもよいだろう。