東京・江東区にある「亀戸天神」。この季節、亀戸といえば「藤の花」。江戸の頃から人々を魅了してきた亀戸天神の藤の花は葛飾北斎、歌川広重の作品の題材にも取り入れられているほどの東京で一番といわれる藤の名所。
境内一面に藤の花が咲く紫の世界はなんとも雅な雰囲気に包まれている。江戸の頃より人々を魅了してきた亀戸の藤。時を経て、令和の春もその景色に彩られている。
■学問の神もこの時ばかりは筆を止める? ほどの美しさ
学問の神、菅原道真を祀る「亀戸天神社」。九州の太宰府天満宮に倣い、社殿、回廊、心字池、太鼓橋などが造営されている。古くは本社にあたる太宰府天満宮に対して東宰府天満宮、亀戸宰府天満宮と称されてきた。
創建当時、江戸の町は明暦の大火による復興の真っ只中。現在の墨田区、南側にあたる本所地域は復興開発事業の土地として定められ、四代将軍 徳川家綱によって、鎮守の神様として祀るように現在の社地が寄進された。
湿地帯でもあった亀戸に初代宮司が水を好む藤を植えたところ、江戸の名所となり、五代将軍 綱吉、八代将軍 吉宗も訪れた記録が残る。
■紫に染まる幻想的な空間が広がる境内
鳥居をくぐり、アーチ状の太鼓橋を渡ると、浮世絵に見た世界がそのままに、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。
境内を埋め尽くすかのような一面の藤棚には、まさに見頃を迎えた藤の花が咲き乱れている。下から見上げると、まるで藤の花が降りそそいでくるかのように、視界が紫に埋め尽くされる。
現在、亀戸天神に咲く藤の花は、太平洋戦争の後、焦土と化した境内に新たに植栽されたもの。それでも江戸の頃からの趣は今も残され、雅な紫の絶景は東京で一番の藤の名所となっている。
4月30日(火) と期間は残りわずかだが、亀戸天神では「藤まつり」が開催されている。日没後は午後9時まで特別にライトアップされ、さらに幻想的な雰囲気。江戸の頃にはなかった東京スカイツリーとの共演は歴代の将軍もうらやむ景色となるだろう。もちろん「藤まつり」が終了してももう少し藤の花を楽しむことはできるだろう。今年のGWは雅な紫に包まれてみてはいかがだろうか。
●施設概要
亀戸天神社
〒136-0071
東京都江東区亀戸3-6-1
TEL 03-3681-0010
本殿開門時間:6:00~17:00
●MAP