■希少植物の宝庫! 八ヶ岳の横岳周辺で見られる花
長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳連峰の横岳は、希少植物の宝庫。代表的なものに「ツクモグサ」「ウルップソウ」「チョウノスケソウ」がある。
「ツクモグサ」は、本州では八ヶ岳の横岳周辺と白馬岳にしか咲いていない、絶滅危惧種に指定されている植物。花びらは緑がかった黄色で、白い毛が生えている。見ごろは6月初旬〜中旬で、晴れの日にしか咲かない。
「チョウノスケソウ」は氷河期時代の生き残りと言われている植物で、本州では北アルプスの一部と八ヶ岳にしか生息していない。日本で最初の発見者である「須川長之助」の名前から名付けられた。珍しい花ではあるが、八ヶ岳には比較的多く咲いている。6月中旬〜7月中旬が見ごろ。
「ウルップソウ」も本州では白馬岳と八ヶ岳でしか見られない希少な花で、絶滅危惧種に指定されている。青色の花と肉厚な葉が特徴的。千島列島のウルップ島で発見されたことからその名が付けられた。八ヶ岳では6月下旬〜7月中旬、横岳、硫黄岳周辺で見られる。
これらの植物を見るのにおすすめのコースが、八ヶ岳の東、横岳登山口から登る杣添尾根(そまぞえおね)だ。赤岳と横岳の稜線上の分岐、標高2,829mの三叉峰(さんしゃほう)まで一本道の急登を、ひたすら登る体力勝負のコース。
筆者も2022年6月下旬、杣添尾根を登り、三叉峰付近の稜線で、ツクモグサとウルップソウ、チョウノスケソウを見つけた。ツクモグサは見ごろ終盤、ウルップソウは始まりかけの中途半端な時期ではあったが、まとまって見られたのはよかった。
所要時間とコース(登り3時間40分、下り2時間40分)
横岳登山口→杣添尾根→三叉峰横→横岳奥の院(標高2,829m)
●八ヶ岳、横岳登山口(長野県南牧村)
■見られたらラッキーな気持ちで、春の登山を楽しもう
計画的に山に訪れても、天気や気温によって目当ての花に出会えないこともある。見られたらラッキーなくらいの気持ちで登山をするのがちょうどよい。本命の花に出会えなくても、新たな発見がきっとあるはずだ。