冬枯れした山は登山においてオフシーズンと言える。しかし、春までどこにも登らないというのはあまりにももったいないと筆者は考えている。オフシーズンの冬だからこその魅力もあり、そのひとつに「人の少なさ」が挙げられる。今回は都心からのアクセスが良く、人気登山アプリ「YAMAP」の調べで関東エリアにおいて、2023年に登られた山トップ5に入る山の中から3つを紹介する。
■都心から1時間! 東京都・高尾山(標高599m)
はじめに紹介するのが、東京都八王子市にある標高599mの高尾山(たかおさん)だ。古くから修験道の霊山とされてきた高尾山は天狗が存在していたとの伝説があり、役行者の伝説や修験者らによる大火渡りや、滝行で知られる文化財を有する高尾山薬王院(たかおさんやくおういん)が山腹に鎮座している。
都心から車で1時間で登山口までアクセスすることができ、アクセスしやすいことも魅力。ミシュラングリーンガイドで高尾山は観光地として三つ星を獲得しており、登山アプリ「YAMAP」の「2023年に登られた山・関東エリア」第1位の山である。
それだけにシーズン中はハイカーだけでなく、多くの観光客も訪れ、山頂付近では大変な賑わいになる。
そんな高尾山も冬の季節には賑わいは落ち着き、ゆっくりと歩くことが可能だ。特におすすめは6号路を利用して山頂を目指すルートで、静かな森の中を歩ける。
山頂では富士山や関東平野を一望でき、晴れた日にはスカイツリーも確認できる。ケーブルカーやリフトを利用することで、体力に自信のない人でもチャレンジしやすくなっている。高尾山の山頂から先へはさらにハイキングルートがいくつもあり、時間と体力に余裕のある人はレベルに合わせてルートを延ばせるため、何度訪れても飽きない山だ。
●【MAP】市営高尾山麓駐車場 東京都八王子市高尾町
〈アクセス〉
圏央道・高尾山ICから国道20号経由で5分(1.7km)
■都心から1時間30分! 神奈川県・大山(標高1,252m)
大山(おおやま)は神奈川県伊勢原市、秦野市、厚木市にまたがる標高1,252mの山で、丹沢山地の東端に位置し、日本三百名山や花の百名山に選定されているほか、関東百山、日本百低山などにも名を連ねている。
中腹に「大山阿夫利神社下社(おおやまあふりじんじゃしもしゃ)」、山頂には「大山阿夫利神社本社」が鎮座している。大山は「雨降山(あふりやま)」「阿夫利山(あふりやま)」の別名を持ち、大山および阿夫利神社は雨乞いの神として、農民の信仰を集めていたそうだ。
大山ケーブル駅から大山阿夫利神社下社まではケーブルカーが走っており、アクセスが容易であることから、通年多くの観光客で賑わう人気の山だ。
高尾山と同様にミシュランガイドで星を獲得していることも人気に拍車をかけている。YAMAPの「2023年に登られた山・関東エリア」ランキングでは第4位にランクインしている。
阿夫利神社側からのルートはメジャーで人気だが、大山へのアプローチは「ヤビツ峠」からが人が少なくおすすめだ。ヤビツ峠へは都心から車で1時間30分でアクセスできるため、時間に余裕をもって行動できる。
山頂付近からは富士山をはじめ、塔ノ岳や丹沢山など丹沢山地を代表する山々を望む展望スポットがあり、この景色はヤビツ峠から登った人しか楽しめない。
山頂にはベンチが設置されているのでゆっくりと景色を満喫できるだろう。
●【MAP】ヤビツ峠駐車場 神奈川県秦野市寺山
〈アクセス〉
東名高速道路・秦野中井ICから県道70号経由で30分(14.9km)