■毛無山のカタクリロード

カタクリの花、花びらを下からのぞくと模様が見える

 「カタクリ」は、春の妖精とも呼ばれる「スプリングエフェメラル」の一つ。「エフェメラル」とは「はかない命」を意味し、1年のうち10か月を地中で過ごす。さらに花をつけるまで8年かかり、花の開花期は1年で5日間ほどしかない。

 紫色の花はうつむき加減で咲き、天気が悪いと花びらは閉じてしまう。

 岡山県真庭郡(まにわぐん)にある毛無山(けなしがせん)の山頂付近には「カタクリロード」と呼ばれるカタクリの群生地がある。筆者が訪れた2023年4月下旬、毛無山山頂(標高1,218m)から白馬山山頂(標高1,060m)までの登山道沿いには、たくさんのカタクリが自生していた。残念ながら、雨でカタクリの花は閉じていたが、また来たいと思わせるくらい迫力ある群生地だ。

 登山初級者にもおすすめの山であるが、白馬山山頂から登山口までの下りの勾配がきついので注意が必要。花の見ごろは、4月中旬〜下旬の晴れた日。

雨に濡れて閉じているカタクリの花

所要時間とコース(登り2時間30分、下り1時間10分)
登山口(毛無山山の家)→毛無山山頂→白馬山山頂→登山口周回コース

●毛無山 

〒717-0201 岡山県真庭郡新庄村田浪

■雪どけの銀杏峰に咲く「カタクリ」と「サンカヨウ」

湿地を好むサンカヨウの花

 「サンカヨウ」は花びらが雨に濡れると透明になる「スケルトンフラワー」とも呼ばれている。大きな2枚の葉に、小さな白い花が数個集まって咲く。濡れるとすぐに透明になるのではなく、長い間弱い雨に当たり続けると透明になる。筆者もまだ、完全に透明になった花びらには出会ったことがない。

透明になったサンカヨウの花(写真は銀杏峰ではなく、長野県小谷村の栂池自然園でのサンカヨウ)

 福井県大野市にある標高約1,441mの銀杏峰(げなんぽ)は、大野市内からアクセスがよく、サンカヨウが楽しめる。山頂付近にはカタクリの群生地もあり、時期を選べば両方の花を楽しめる。

 体力的に少しハードなコースのため、登山経験をある程度積んだ人におすすめしたい。

所要時間とコース(登り3時間40分、下り2時間30分)
宝慶寺(ほうきょうじ)いこいの森→名松(めいまつ)新道→前山→銀杏峰山頂

●銀杏峰(銀杏峯)

〒912-0000 福井県大野市巣原