■人気の山小屋は事前予約を忘れずに

 イタリア・アルプスの山小屋は、だいたい夏の登山シーズンが始まる6月中旬から9月中旬の期間のみの営業となっているところが多い。国境を接していることもあり、アルタ・ヴィアの山小屋はとても国際色豊かで、英語やフランス語、ドイツ語、スペイン語など、さまざまな言語が飛び交う光景も日常的に見られる。

 国を跨いで登山を楽しんでいる人も多く、それゆえ登山ルート上のポイントとなる山小屋には宿泊客も多い。ベッド数は限られているので、山小屋に1泊したいと思ったら、前日までに予約をしておくことをおすすめする。もちろん、ベッドに空きがあればランチに立ち寄った山小屋にそのまま宿泊する、ということも可能だが、部屋を選びたい場合は事前予約が必須だろう。

 宿泊料金は部屋のタイプや朝夕の食事付き・なしなど、条件によって異なる。一番安いタイプは相部屋の1ベッドに泊まるというもので、だいたい1泊25ユーロ前後。シャワー、トイレは共同で、ベッドはタワー式(2段、3段ベッド)の一つを使うことになる。

 最近では古くからある山小屋もリニューアルが進み、カップルやファミリー向けの個室を備えているところも多くなってきた。部屋にシャワー、トイレを完備している山小屋もある。個室タイプの場合も表示された料金は1人分で、だいたい1人60〜80ユーロ前後と、相部屋に比べるとかなり割高になるが、プライベート空間を確保できるこうした部屋は人気が高く、飛び込みで行っても空いていない可能性が高い。

モンブランのヴェニー渓谷にある山小屋 Cabane du Combal(カバネ・デュ・コンバル)。コンバル湖とミアージュ湖の間に建てられた比較的新しい山小屋。7つの部屋があり、各部屋に専用のシャワールーム、トイレが備わっている
ツインタイプの個室。シャワー、トイレ、シーツ、タオルも完備されている。周囲の景色 や星空も楽しめるよう、大きな窓がたくさんついている。大部屋に比べると料金は高いが、こん な空間を独り占めできるなら1泊ぐらいは贅沢しても惜しくない。
山小屋があるのは車が入り込めないヴェニー渓谷の歩行者専用エリアなので、大自然のリ ズムを体感できる
夕暮れ時や早朝には、近くの湖に水を飲みに集まってくる野生動物を間近に見ることがで きる