やってきました、全国に約3500社もあるえびす宮の総本社西宮神社。阪神西宮駅から歩いて5分ほど。総本山は思わぬ駅チカにあった。待ってて、福の神、えびす様!

平安時代の文献にすでに「戎(えびす)」の名が記されていることから、創建はそれ以前ともいわれている。鳴尾の漁師が網にかかった御神像をお告げに従いこの地に祀ったのが起源で、漁業の神、商売繁盛の神様として知られるようになった

■エキサイティング! 福男ダッシュ神事「走り参り」が有名

 商売繁盛を願う一月九日、十日、十一日の「十日えびす」は、阪神間最大の祭りとして有名。百万人もの参拝者が訪れるという。

 十日早暁の大祭終了後に行われる開門神事の「走り参り」はニュースで見たことがある方も多いだろう。いやこの記事を読んでいる方のなかに、「実は俺、出場したこともありますねん」という方もいるかもしれない!

コロナ禍で中止していたが、2024年は3年ぶりに開催

 かなり過酷なレースである。本えびすの1月10日午前0時、閉じられた表大門の中で神職による神事が始まり、午前6時、太鼓の音とともに表大門が開き、一斉に福男を目指す参拝者がダッシュ! 約230メートル先の本殿まで「走り参り」をし、最初に到着した3人がその年の「福男」に認定されるのだ。

 関西では有名神事なので、開催した年はかなり大きくニュースで取り上げられるが、その映像を見るだけでも大迫力だ。狭い道をひしめき合い、すごい勢いで走っていく。神事なので逆に容赦がない。観ているだけで「気を付けてーッ!」と叫びたくほどエキサイティング!

本殿がまさかの63年ぶりの屋根葺替工事中

 さて、走り参りのスタート地点でもある赤門を撮影したのだが、観光バスが留まっている。これを「邪魔」と捉え消しゴムマジックで消すか、「えべっさん、観光地としても大人気」と捉えるか――。これはもうポジティブに後者と捉え、ありのまま掲載。2020年に修復が行われたばかりの鮮やかな赤門の朱色とバスの色が図らずともマッチし、とてもオシャレ。

「赤門」と云われる表大門。左右に連なる全長247メートルに及ぶ大練塀と共に重要文化財に指定されている

 さあ、商売繁盛の神様として有名な西宮神社。ギリギリの生活が続く個人事業主の私は、ガッツリお参りしておきたい。

 そして本殿にお参り…… のはずが、なんと本殿は現在、63年ぶりの屋根の葺替工事中。なんともタイミングが悪い!

葺替工事は2024年1月から11月まで

■21分の1の奇跡! 「大福」が出た!

 仕方がないので本殿の奥に作られた仮殿にお参りをすませ、いざ、おみくじである。ドシンプルな紙のおみくじ(100円)であるが、噂によると、西宮神社には、大吉より縁起の良い「大福」があるのだとか。倍率は21分の1なのだそうだ。

 

 いざ、開封……。おおおーーッ! こっ、これ大福! 大福だよね!? 来た来た!!

2019年からプラスされたという「大福」。えびす様が鯛を釣っているイラストが愛らしい

 奇跡!  一人で小さく地団太を踏みながら、やっほうやっほうと心の中で喜んでいたら、後ろの方で、なにやら私以上に喜んでるような賑やかな笑い声が聞こえてくる。

 振り返ってみると、10人くらいの男女混合グループが、一人ずつ順番におみくじをあけて、他の人がそれを見守りキャッキャしているではないか。

 「はい、○○さんオープン!」

 「じゃーん!」(←全員で言う)

 「吉かー。まあまあ、まあまあですよ」

 「じゃあ次、○○さん、オープン!」

 「じゃーん!」(←全員で言う)

 ……楽しそう。なぜかしら。私の大福より、あっちのグループの吉のほうがめでたい気がする。赤門の入り口に止まっていた観光バスの方たちだろうか。くっ、混ざりたい。「見て、じゃーん。私、大福~」と一緒にキャッキャしたい!  「私も混ぜて」と言ったら、あの人たちも旅のノリで仲間に入れてくれるかもしれない。一瞬突撃しようかと思ったが、ギリギリのところで踏みとどまった。

写真撮影が恐ろしくヘタな私にしては奇跡的に美しいおみくじショット