■「静かさ」が売り! アルコールバーナー

 普段はキッチンに立たない人でも、キャンプではずっと料理をしているなんて人も多いだろう。自然の中に身を置き、いつもよりワンランク上の料理を食べることは贅沢である。キャンプ飯を楽しみにする人も多いはずだ。

 料理をするためにはバーナーは欠かせないギアであり、炒めたり焼いたりするためには火力や火加減を調節できるバーナーが便利だ。

 だが、紹介するバーナーにはそんな機能は一切ついていない。ガソリンストーブのように火力は強くないし、ガスバーナーのように火加減の調節はできないトランギアのアルコールバーナーは調理をするには不便であるが、「シンプルさ」と「静かさ」が魅力だ。

静かに燃焼するアルコールバーナーは夜中であっても気兼ねなく使える(撮影:山歩ヨウスケ)

 トランギアは1925年に創設されたスウェーデンのアウトドアメーカーで、クッカーやバーナーなどを作っており、アルコールバーナーは半世紀以上のロングセラー。アルコールバーナーの「元祖」とも言える歴史の長いバーナーだ。シンプルな構造は「機能」と引き換えに「壊れにくさ」と「コスパの良さ」を備えている。

かれこれ20年以上使い続けているが故障は一度もない(撮影:山歩ヨウスケ)

 燃料のアルコールは入手が容易なのもいい。ガスカートリッジやホワイトガソリンはアウトドアショップやホームセンターなどで購入する必要があるが、アルコール燃料は近くのドラッグストアで購入ができる。

 消火も原始的で、付属の火消しフタを被せることで消火する。ガスバーナーのようにつまみを回して消化できるわけではないので、扱いには多少の慣れが必要になるが、余計な機能が一切ついていないシンプルさは使えば使うほど愛着が生まれるギアである。筆者も20年以上使っていることからその魅力の虜になってしまっているのだろう。

トランギア・アルコールバーナー
・参考価格:3,300円(税込)
・重量:110g
・使用燃料:エチルアルコール、メチルアルコール
・収納サイズ:Φ7.5×H4.5cm

【商品サイト】https://www.iwatani-primus.co.jp/products/trangia/burner/tr_b25.html

■「真鍮製」の魅力

経年劣化での汚れも味になる。そんな魅力が真鍮にはある(撮影:山歩ヨウスケ)

 重厚な真鍮は「軽さ」が求められるキャンプギアとしては、チタンやアルミに比べ、重く、手を出しにくい素材になりつつある。

 だが真鍮という素材が出す独特の魅力は他の追随を許さない。汚れや錆びですら趣になり、魅力に変わる。

 機能は原始的、現代の道具としては時代遅れを感じ、不便さを感じるギアを3つ紹介させてもらった。キャンプでの楽しみ方は人それぞれであるが、「不便な道具を使う」ことを楽しむのも、楽しみ方のひとつと言えるのではないだろうか。