キャンプブームである昨今ではギアの選択肢は多く、軽量なものや重厚でデザインに長けたもの、利便性に優れたものなど様々だ。

 高機能で簡単に扱えるギアは使い勝手もよく便利であるが、筆者は不便なギアを好んで使うことがある。50年以上ものあいだ姿を変えずに現代に引き継がれている不便でも使いたくなる真鍮製のギアを3つ紹介したい。

■歴史は100年以上! 簡単には点火できないガソリンストーブ

オプティマス・スベア123R ガソリンストーブ(撮影:山歩ヨウスケ)

 オプティマスはスウェーデンで誕生した調理器具のブランドで、「スベア123r」は1800年代後半に開発されて以来、現在でも100年以上前とほとんど変わらない姿で販売されている。

 ホワイトガソリンを使用するストーブで、その構造は原始的。点火するためには「プレヒート」が必要となる。プレヒートとは点火前にストーブ本体を加熱し、燃料であるホワイトガソリンを気化させ、点火をスムーズにさせるための準備だ。

 スベアの特徴として、燃料を圧縮する機能がないため、プレヒートをしっかりとしないと燃料が気化せず、点火することができない。イグナイター(自動点火装置)に一度慣れてしまうと不便であることにほかならない。

カバーを取り外した状態。燃料を補充したり、プレヒートをするためには毎回このカバーを外す必要がある(撮影:山歩ヨウスケ)

 スベアを使っている人が「着火の儀式」と呼んでるのを聞いたことがあり、筆者もその言い回しに納得してしまった。慣れてくると点火するための手順すら楽しくなってくるのだ。

青くなっているのは「錆び」。この青錆びに趣を感じる(撮影:山歩ヨウスケ)

 最新の圧縮式のガソリンストーブに比べれば火力も弱いが、調理をするのに不便さを感じることはなく、必要な量の燃料を入れることができるのはメリットだろう。

 原始的な構造であるため壊れにくく、アフターパーツも豊富であることから世代を超えて使い続けることができるギアだ。

オプティマス・スベア123R
・参考価格:21,780円(税込)
・重量:550g
・素材:真鍮・アルミニウム
・使用燃料:ホワイトガソリン
・出力:1400W(1300Kcal)
・収納サイズ:100 x 130mm
・付属品:取扱説明書、アルミクッカー

【商品サイト】https://www.star-corp.co.jp/shop/products/detail/10001

■暗いけどサイトにあるだけで抜群の雰囲気! キャンドルランタン

UCOキャンドルランタン。静かな明かりはリラックスさせてくれる(撮影:山歩ヨウスケ)

 LEDが普及し、軽量で明るい電気ランタンが多く出回っているが、紹介するのは時代とは逆行するようなランタンだ。

 1973年、アメリカのワシントン州で誕生したIndustrial Revolution社。その名の通り世界中のアウトドアシーンで革命を起こしてきた同社を代表する「灯り」をキーワードにしたのがUCO(ユーコ)。

 UCOキャンドルランタンはその名の通り、燃料にキャンドルを使う。単体の使用ではお世辞にも明るいとは言えず、照明としての戦力は低い。それにキャンドルは蝋が溶け出すので扱いに注意が必要で、誤って倒してしまったりすると大惨事になる。

 使用しているだけでも本体やマントルに蝋が付着するので定期的なメンテナンスも必要になることから利便性や扱いやすさを重視する人は手を出さない方がいいギアだろう。

 しかし、愛着がもてるギアをメンテナンスする時間はキャンプに行っている時と同じくらい楽しい時間ではないだろうか。次にフィールドに行ける時のことを考えながらメンテナンスすれば楽しさは2倍だ。UCOキャンドルランタンはそう思わせてくれるランタンだ。

真鍮製のランタンはサイトに吊り下げて置くだけで抜群の雰囲気(撮影:山歩ヨウスケ)

 キャンドルは、液体の燃料とは違い、漏れへの心配がないのもメリット。

 照明としては暗く、キャンドルの扱いには注意が必要な不便さはあるが、点灯している時の雰囲気は抜群で、電気のライトにはない魅力がある。

UCO・キャンドルランタン
・参考価格:5,940円(税込)
・重量:250g
・燃焼時間:約9時間
・サイズ:16.5×Φ5cm
・収納サイズ:10.6×Φ5cm

【商品サイト】https://e-mot.co.jp/product/24350/