■魅力4:自然とつながるためのハブアイテム
日本人は、サウナは単純に気持ちよくて健康にもいいという理由で入ることが多いが、フィンランド人はもうひとつ違った側面でサウナと接している。
太古の昔から厳しい自然と共生してきたフィンランド人にとって、サウナは自然とつながるための神聖な場所であり、生と死を司どる場所でもあった。第二次世界大戦前までは、サウナは出産や遺体を安置する場所としても各家に存在し、現代では祭りや重要な儀式の前にはサウナに入る習慣があって、花嫁も教会に行く前には必ずサウナに入る。サウナには自然界と繋がる妖精や霊がいると信じられており(日本でいう八百万神に近い考え方かな)、サウナを通じてそれらとつながることで自然を畏怖し、大切にして守護してもらうのだ。
自然崇拝においての薪の存在は大きく、自然界にある木を使って人の手によって火を熾し、その熱で体内の汗を流す。まさに自然とつながるためのハブアイテムだ。
これはフィンランドに限らず、同じく厳しい自然環境で生きるネイティブアメリカンのスウェットロッジなど、世界各地で同様のことが行われている。火と触れ合うことは、きっと人間として本質的な安心感を得るための、普遍的で大切な行程なのだろう。
単純に「癒された」では済まない安らぎがそこにはある。
深いからこそ面白く、ハマっていく薪サウナの世界。テクノロジーに依存して疲弊してしまっている現代人は、今こそこの素朴で本質的な世界を体感してみてほしい。