正面の飯盛山が見えてきた! その向こうには富士山も!

 歩き始めて30分もすると、その“準備”が早々と報われる。一気に視界がどーんと開けて、目の前に均整の取れた三角形の山が出現するのだ。それこそが、今回の目的地となる「飯盛山」である。

 標高は1,643mとなかなかの高さがあるけれど、じつは平沢峠の標高が1,415mだから、高低差でいえば250mもない。雪の山を歩くってどんな感じだろう? そんな体験をするのにぴったりの山なのだ。

 周辺には展望を遮る山や建築物などがないため、晴れていれば相当なスーパービューが期待できる。その風景の中には鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳、北岳といった南アルプスの荘厳な山岳をはじめ、奥秩父の名峰・金峰山も近い。加えて、飯盛山の向こうには富士山がよく見えている。最高だ。これだけの展望に恵まれている山だから、初心者はもちろん熟練者でもきっと気分は上々だろう。

 ちなみに、遮るものがないということは、風の当りも強いということ。風が強い日は気温以上に寒さが厳しくなるので、天候判断は慎重にしていただきたい。

■飯盛山の向かいには大盛山!

大盛山から望む飯盛山と富士山。南アルプスや奥秩父の荘厳な風景は、自分の目で確かめて欲しい

 飯盛山と向かい合わせに大盛山という山がある。お互い“飯”が共通する愛嬌のある名称で、ついクスリとしてしまう。しかし、そのかわいらしさに似つかわしくない印象の強い眺めが、大盛山の頂に広がっているのだ。ついさっきまで立っていた飯盛山と富士山が、うまい具合に重ならない絶妙なポジションでそびえている。カメラを向けずにはいられない素晴らしい構図だ。

 夏山シーズンや秋に来てもいい眺めが楽しめるけれど、雪の季節ならではのこの光景が片道1時間で味わえるなんて、ちょっとお得感さえ感じてしまう。帰りは小淵沢や清里も近いし、佐久にも抜けることができる。温泉で冷えた身体を温めて、美味しいものでも食べていこう。

 

<低山トラベラー厳選。飯盛山周辺の立ち寄るべきスポット>
・【駐車場】平沢峠に駐車場あり。トイレは冬季閉鎖なのでご注意を
・【電車】JR小海線「野辺山駅」が最寄り。徒歩1時間ほど
・【温泉】甲斐大泉温泉パノラマの湯がポピュラー
・【食事】本連載4度目の登場の「ストローハット」は鉄板!
・【食事】中村農場は、なに食べても美味い!ただし待ち時間は覚悟
・【甘味】お約束は清泉寮のソフトクリーム!
・【パン】大好きすぎる「megane」のパン。モーニングも最高!