■ジビエを食べて、鳥獣被害対策に貢献しよう

北アルプス三俣山荘のジビエシチュー

 かくいう筆者は幼い頃から猪、兎、キジ、鴨といった野生鳥獣を見る機会が多く、食卓には猪や兎、キジなどの料理が並んでいたが、野蛮な食べ物だと嫌い、それらの料理に手をつけなかった。

 大人になり登山を趣味に持つようになった筆者は、山の中で多くの鹿や猪の被害を目撃し、山を守るためにはどうすれば良いかを考えるようになった。

 そこで出た答えの一つが「ジビエを食べること」だ。父に猪の捌き方を教わり、今ではシチューやカレー、猪汁などの具材として我が家の食卓に並ぶようになった。劇的な変化と言っていい。

 ジビエの肉は自らが狩猟しなくても最近では加工食品が「道の駅」で売られていたり、ジビエ料理専門店も見かけたりするようになった。高タンパクな鹿肉はペットフードにも最適で、筆者も手作りジャーキーを愛犬に与えている。毛艶がよくなり、効果は抜群である。

ジビエをフードドライヤーで乾燥させてペットフードにする
ジビエをフードドライヤーで乾燥させて作ったジャーキー

 この記事を読む人の中には登山が趣味という人も多いだろう。北アルプスの山小屋「三俣山荘(みつまたさんそう)」の夕食には、鹿シチューが出てくる。高タンパクで鉄分の多い鹿肉は、登山で疲れた体を回復させるのに最適で人気メニューになっている。

 ジビエ料理を食べることは、ただ単に栄養価の高い美味しい料理を楽しむことだけではない。より多くの人が食べることによって、ジビエがもっと注目を浴び、結果として鳥獣対策につながることを期待している。