■いつものキャンプとは勝手が違う「焚火禁止」
「三条の湯」はキャンプ場ではなく、山小屋・テント場である。キャンプ場とはルールが違うので事前に確認しておきたい。「三条の湯」は秩父多摩甲斐国立公園の中にある「キャンプ指定地」のため、焚火は禁止されている。
そのため煮炊きにはバーナーを使用する必要がある。焚火ができないキャンプなんて、と思うかもしれないが、ぜひ一度体験してみてほしい。焚火調理に慣れた人にとって、バーナーでの調理は新鮮に感じることができるだろう。
フリーズドライやアルファ米なども普段のキャンプで食べている人は少ないはずだ。シンプルな食事にはなるが、これがまた美味しい。筆者のおすすめは「五目ご飯」。
■長い歩きで疲れた体を癒してくれる「温泉」
長い山歩きの後、キャンプをするだけではない。「三条の湯」に行く一番の目的は「温泉」だ。
定員3名程度のコンパクトでシンプルな湯船だが、長い山歩きの後、疲れた体を癒すには十分過ぎるほど快適だ。
湯は無色透明で硫黄の匂いを感じる。薪で温められたお湯は熱いけれどまろやかだ。炭酸成分が多いのか体中泡だらけになり、湯上がりにはお肌がツルツルになっている。時間帯によって男湯と女湯が入れ替わるが、正午〜20時30分までは何度でも入浴可能。筆者も夕方に入った後、寝る前にも入った。温泉で体を芯から温めて寝袋に入ると気持ちよく眠ることができる。
三条の湯では排水を川に流すため、環境汚染の観点からシャンプーや石鹸などの使用は禁止されている。入浴する時はシャワーでよく汗を流してから入るようにしたい。
■温泉を堪能した翌日は下山するもよし、雲取山を目指すもよし
冒頭でもお伝えした通り「三条の湯」は雲取山の中腹に位置するため、雲取山の登山が楽しめる。温泉とキャンプを楽しんだ翌日にはそのまま下山してもいいし、体力に余裕のある人は雲取山の山頂を目指すのもいい。
「三条の湯」は「通年営業」している山小屋である。冬季は積雪もあるので訪れる際にはアイゼンなど冬山装備を整えることと、防寒対策をしっかりして出かけてほしい。
〈三条の湯〉
営業期間:通年
予約:要予約
チェックイン:17時まで(冬季は16時まで)
運営・TEL:有限会社丹波山観光 0428-88-0616
〈アクセス〉
車:圏央道・青梅ICから国道411号線経由で片倉ゲートまで1時間21分(44.4km)
中央自動車道・大月ICから国道139号線経由で片倉ゲートまで1時間4分(39.9km)
公共交通機関:JR青梅線 奥多摩駅下車 西東京バス「丹波山村役場低」行きに乗車、バス停「お祭り」下車、徒歩3時間(「鴨沢西」行きの場合は、終点「鴨沢西」にて下車、徒歩15分でバス停「お祭り」へ向かい、そこからさらに徒歩3時間)