■アタリは親ウキの下にある「イトウキ」でキャッチ

水面に浮かんでいるのが親ウキでその下に等間隔で縦に3つ並んでいるのがイトウキ

 今回使用した仕掛けは、関東地方では一般的な「ウキ仕掛け(連動シモリ仕掛けともいう)」である(野田幸手園のレンタルタックルも同じウキ仕掛け)。親ウキと呼ばれるウキの下にイトウキという水鳥の羽根の芯などを加工した目印が複数個ついているタイプである。

 普通、ウキというと魚のアタリをとるための道具であるが、タナゴ釣りの場合は必ずしもそうとは言えない。というのも、タナゴがエサをついばむ力があまりにも弱いため親ウキにはアタリがほとんど出ないからである。そこで考え出されたのがイトウキで、親ウキには出ないようなわずかなアタリを水中にあるイトウキの動きの変化で読み取るのだ。

タナゴ釣りはハリも繊細(右はマッチ棒)。エサも付け過ぎると掛かりが悪くなる

 水中のイトウキが微妙に上下したり、あるいは左右に動いたり止まったりするので、それを見逃さずにアワセをしないとタナゴはいつまでたっても釣れない。慣れないうちはイトウキに少しでも違和感を感じたら、手当たりしだいにアワセを入れるくらいでちょうどいい。数をこなしていくうちにコツがつかめるはずである。

●タナゴ釣り用のタックル(野田幸手園のレンタルタックル)

【タックル】
・ロッド:0.8mのエビ・タナゴ竿
・仕掛け:タナゴ釣り用のセット仕掛け(ウキ仕掛け)
・エサ:タナゴ用のグルテンエサ(練りエサ)

【その他の道具】
・生かしビク(魚入れ)
・折りたたみ椅子

■途中で諦めなれば、必ずアタリは見極められる

冬のタナゴ釣りにおいて短気は禁物。腰を据えてじっくりと楽しみたい

 筆者が野田幸手園を訪れたのは11月下旬のこと。久しぶりのタナゴ釣りということもあり、道具はすべてレンタル、釣り方についても前日に予約を入れて釣り場スタッフのレクチャーを受けて、午前7時過ぎから釣りを開始した。

 アタリが頻繁に出るようになったのは、午前9時を過ぎた頃だった。日が高くなったことで水面に光が射して水温が上昇。これにより魚の活性が高くなったようだ。しかし、ハリ掛かりするのはクチボソとブルーギルばかりで本命のタナゴがまったく釣れない。気が付くと時刻は午後1時を過ぎていた。

この日一番釣れたのはクチボソ。50匹は優に超えていた
釣りあげた瞬間、大きなタナゴかと思ったのだがブルーギルだった

 そして、この状況について他のお客さん(常連の釣り人)に相談してみたところ、タナゴのアタリを見逃していることが分かったのである。イトウキに出る微妙なアタリをとらないことにはタナゴは釣れないというのである。

 このアドバイス以降は、これが本当にアタリなのか?  というような怪しいものもすべてアワセていったところ、本命のタナゴが徐々に釣れるようになってきた。何度も失敗を繰り返しながらも続けていくうちに、とてもおぼろげではあるがタナゴのアタリが見極められるようになってきたのである。このコツを掴んで以降はアタリをとるのがもう楽しくて楽しくて、年甲斐もなくお昼も食べずに夢中になってしまった。

 肝心の釣果の方はというと、クチボソが50匹以上、ブルーギルが8匹、そして本命のタナゴが16匹という成績。釣り方のコツをつかんだのが後半戦だったこともあり、帰りの車中は釣り足りない気分でいっぱいだった。次回はもっと釣れるはずである。近いうちにまた出かけようと心に誓うのだった。

この日のタナゴの釣果は16匹。釣り方のコツをつかんだので、次回はもっと釣れるはず

■釣り納め・釣り初めにもおすすめのタナゴ釣り

冬は管理釣り場でのタナゴ釣りがおすすめ

 これからの寒い時期にも楽しめる野田幸手園のタナゴ釣りについて紹介させていただいたが、興味をもっていただけただろうか。

 ひと昔前までは身近にある用水路やため池などで気軽にタナゴ釣りを楽しむことができた。ところが、宅地開発による埋め立てや、タナゴ釣り場近くでの迷惑行為(農道での路上駐車やゴミ問題)などが原因で釣り場が次々と閉鎖されてしまい、タナゴ釣りをするのが年々難しくなっている。

 こんな状況の中でタナゴ釣りが気軽に楽しめる場所があるのはとても嬉しいことである。この釣りをやったことがない人はもちろん、久しぶりに味わいたいという人にもぜひ野田幸手園に出かけてもらいたい。元旦の1月1日を除いて年中無休で営業しているので、年末年始の「釣り納め」や「釣り初め」にもおすすめの釣り場である。

・WakuWakuField 野田幸手園(入場料金、釣り案内、釣り動画などの情報あり)
 https://satte-en.wakuwakufield.jp/annai

●【MAP】野田幸手園