浩庵キャンプ場のテントサイトからみた富士山と本栖湖

 12月になり、本格的な冬が到来すると、冬季閉鎖になるキャンプ場も多い。冬の時期は「通年営業」のキャンプ場に絞って探す必要があり、行きつけのフィールドを持っていない初心者キャンパーにとっては場所探しも一苦労だ。今回は筆者が訪れた通年営業をしているキャンプ場の魅力をお伝えしたい。

■『ゆるキャン△』聖地「浩庵キャンプ場」

 この記事で紹介するのは『ゆるキャン△』の舞台になった「浩庵(こうあん)キャンプ場」だ。『ゆるキャン△』とは、キャンプや野外活動などを楽しむ女子高生の日常を描いた漫画で、2015年から連載され、アニメ化や映画化された人気作品である。キャンプブームの火付け役の一端を担っていると筆者は思っている。

 漫画の舞台となったことや、抜群のロケーションからキャンプシーズン中は常に混み合っているが、冬はちょっと変わってくる。一般的にオフシーズンとなる冬はキャンプ場を訪れる人が少なくなり、シーズン中に比べればゆったりとキャンプを楽しめる。

 浩庵キャンプ場も例外ではなく、冬は混雑とまではいかず適度な間隔を保てる。筆者はこれまで10回以上訪れているが、冬が一番ゆっくりできると感じている。

 本栖湖は標高が900mを超える場所に位置するため、冬は降雪もある。浩庵キャンプ場のテントサイト入り口は急な勾配になっており、ノーマルタイヤでの入場ができないことも。冬用タイヤで行くか、チェーンを必ず携帯してほしい。

■浩庵キャンプ場は湖畔サイトだけじゃない。お気に入りのサイトを見つけよう

 浩庵キャンプ場と言えばやはり湖畔サイトが一番人気だ。海と違って波がたたず、満ち引きもない湖畔では水辺の近くにテントを張ることができる。

浩庵キャンプ場で一番人気の湖畔サイト。多くの人がこのサイトを目的に訪れる

 人気のサイトである分、競争率も高く、常に賑わっているが「浩庵キャンプ場」にはこのほかにも魅力的なサイトがあるので紹介したい。

浩庵キャンプ場の湖畔サイトからさらに奥に入った場所。フラットなスペースが多く、人も少ないのでゆっくりできる

 湖畔サイトを奥に進むと、湖畔から一段上がったところにテントを張れるスペースが点在している。ここからも富士山を望むことができる。

 炊事場やトイレから離れてしまうので利便性は少し悪くなるが、静かにキャンプを楽しみたい人にはぴったりなサイトだ。

 このほかにも林間サイトがある。富士山や本栖湖の眺望は少しだけ悪くなるが、冬は木々の間から富士山の姿を楽しむことができる。また、ハンモックキャンプをしたい人にもおすすめだ。

浩庵キャンプ場の林間サイト。炊事場やトイレが近くて便利。ハンモックキャンプをしたい人におすすめ

 湖畔サイトは強風時に風の影響を受けやすいが、林間サイトは木々が防風の役割となるため多少の風なら気にせず楽しめる。

 林間サイトは基本的に車の乗り入れはできないが、閑散期は車の乗り入れが可能。車の乗り入れの可否については受付時にスタッフに聞こう。

■炊事場、トイレ、シャワー、お風呂がある充実の設備

 キャンプを安心して楽しめるかは、キャンプ場の設備によるところも大きい。その点において「浩庵キャンプ場」は設備も充実している。

浩庵キャンプ場の敷地内。炊事場と奥にあるのがトイレとシャワー施設

 炊事場には屋根があり、悪天候でも安心して利用できる。設置されている水道の蛇口数も多いので混み合っている時でもスムーズに利用でき、掃除も行き届いていて常に綺麗だ。トイレも同様、清潔に保たれている。

 コインシャワーの設備もあるので、汗を流すこともできるし、受付のある本館ではお風呂の入浴も可能だ(シャワー、入浴ともに有料である)。お風呂の利用時間は日によって異なるので、事前にホームページで確認しておこう。

■朝の絶景タイム。日の出をゆっくり鑑賞しよう

 「浩庵キャンプ場」の魅力はまだまだあるのだが、あと一つおすすめしたいのが夜明けの時間帯だ。本栖湖の西側に位置するキャンプサイトからは東側がよく見えるので、朝日が昇る時間には絶景を楽しむことができる。

浩庵キャンプ場から見る夜明け前の景色。太陽に照らされ富士山のシルエットが浮かび上がる光景をぜひ見てほしい

 「浩庵キャンプ場」では夜更かしをせずに、夜明け前から日の出の時間をゆっくりと楽しんでほしい。本栖湖キャンプ場は冬の冷え込みが厳しい。防寒対策はしっかりとして出かけたい。カイロ、マフラー、手袋はマストアイテムだ。気温が低いとスマホのバッテリーが減りやすくなるので、モバイルバッテリーがあると重宝する。せっかくの日の出を記念に残すなら必須だ。防寒対策をしっかりとしたら、温かいコーヒーを飲みながら日の出を待とう。

 冬は寒さが厳しいが、空気が澄んでいて星空がよく見え、焚火が楽しくなる季節でもある。冬キャンプにトライしてみたい人は、ぜひ行ってみてほしい通年営業のフィールドだ。

 人気の湖畔サイトを体験してみるのもよし、林間サイトで静かに過ごすもよし、自分のスタイルにあったサイトを選んで冬キャンプを楽しんで欲しい。

 

【施設】浩庵キャンプ場
【住所】山梨県南巨摩郡身延町中ノ倉2926
【アクセス】東富士五湖道路・河口湖ICより国道139号経由で33分(23.8km)

浩庵キャンプ場 http://kouan-motosuko.com

●【MAP】浩庵キャンプ場