■気になる予算!
今回はCentral Asia Travel 社の Business Plan(900USD)で参加した。入山料、空港からの送迎、BCとC1での常設テント、食事、ダイニングテントの使用などが、この料金に含まれている(詳細はHP参照)。この他で登山をするために現地でかかった料金は、ガスカートリッジ(10USD/個)、オシュでの宿泊費(40USD/日)、飲料や嗜好品を合わせて150USDほどであった。物価が安いとはいえ、この料金は破格である。BCのスタッフに理由を聞くと、原則的にヘリを使わないことが大きな要因だという。有事の際も、最も近い場所のガイドやポーターが救助活動を行い、安全な場所まで下ろすらしい。ヘリを呼ぶラインがどこにあるのかはわからないが、逆に重傷を負ってもすぐには平地の病院に搬送してもらえないというリスクがあるのかも知れない。
現地でかかる金額は少ないが、今回は航空券が34万円した。2つの大きな理由があり、まずは円安(1USD=148円)であること、もう一つは戦争中であるロシアを経由することができず、ドバイ経由になってしまったこと。キルギスの国内線はインターネットで購入することができず、旅行会社に手配してもらう必要がある。
■世界から集う登山者たち
一人で何かをしようとすると、感覚が研ぎ澄まされる。何があっても、基本的には自分一人で何とかしなければいけないからだ。それ故、全てが新鮮で、刺激的である。そして、その中でコミュニケーションを取ってできた友人は、特別な存在になる。今回も、様々な国、言葉、体格、目の色、文化の友人ができた。一度きりの人生で、色んな国で友人ができるのは素敵なことだと思う。
レーニンにはロシア人も多くいた。ロシアの現状は複雑だ。正直なところ、他国に登山に来ていることにも驚いた。彼らとどう接して良いかわからなかった。しかし登山を通じて同じ時間を過ごす中で、彼らは私に言った。「お前と友達になれて嬉しい。ロシアと日本も、仲良くいてほしい。人を攻撃したいと思っているのは一部の人間だ。早く戦争が終わり、お前がロシアの私の家族を訪ねてくれる日を待ち望んでいる」
人々の争いはなくならないかも知れない。何が正しいのかもわからない。しかし、私は彼らの言葉を信じたい。励ましあって登山ができた彼らを、これからも仲間と呼びたい。それが平和を願うということならば、その小さな一歩がレーニンにあった気がする。