■原始的なもののように見えて、ブッシュクラフトはまだ進化の途中

自作のティピの前で焚き火

 闇夜に浮かび上がるティピと焚き火の風景は、まるで西部劇映画から抜け出してきたかのようだ。どこからともなく狼の遠吠えが聞こえて来そうであった。

山菜とベーコンの雑炊をその場で作った器に盛り付けた。箸も自作したものだ

 原始的なもののように見えて、ブッシュクラフトはまだ進化の途中だと感じているという。

 「世界中のブッシュクラフター達は今も進化しているよ。僕も日本のことを聞かれることも多い。みんな知らない知恵を吸収したいっていう情熱が凄いんだ。そして色んなやり方があって良いし、人が自分と違うやり方をしていても、ちゃんとそれをリスペクトしてあげる。そんなところも、彼らの素敵なところなんだよね」

インディアンティピは天窓があるため、中で焚き火もできる

 今回長野さんと1日一緒に過ごしてみて感じたことは、ブッシュクラフトの楽しさと、自由で豊かな創造性だった。シンプルで原始的な道具しか使わないからこそ、何かをしようとすると、全てがフィジカルに関わってくる。頭も体も感覚もフル回転しているのが分かる。その濃い内容は流石に達人だと感じた。そして、とても心地良かった。

 野性的なのに優雅で、柔らかいのに芯がある。そんな魅力のある人だった。革のハットは伊達ではなかった。

@shuuheinagano

※本記事は『ブッシュクラフターズ』(山と溪谷社刊)に加筆・修正を加え、再編集したものです

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