今回紹介する越山さんの職業は、ナイフの使い方とブッシュクラフトを教えるインストラクター。様々なフィールドで、野山で遊ぶ技術や心構えなどを伝授している。
彼はいかにして、仕事にしてしまうほど、ブッシュクラフトにハマったのだろうか。その独特な経歴を振り返りながら、理由を探ってみよう。
■ネイティブインディアンに学んだ「欲張らない生き方」
越山さんは自然に囲まれた長野県岡谷市に生まれ、小さな頃からお爺ちゃんに借りた鉈を振り回し、近所の山の中を探検していたそうだ。そして高校を卒業した越山さんは、東京に出てパンクバンドを結成し、10〜20代はバンド活動に夢中になった。
30歳を過ぎた頃、東京の下北沢に革細工とシルバージュエリーの店を開いた。年に数回、買付と勉強を兼ねてアメリカに出掛けていた。そこでのネイティヴアメリカンとの出会いが人生を変えることになった。
「彼らって自然を必要以上に壊さないんですよ。薬草を採りに行っても、群生を一つの家族として見ていて、話しかけて断りを入れて、その時に必要な分しか採らないんです。」
ある時、知人のネイティブアメリカンとキャンプに行く機会があったそうだ。「日本で友達と行くいつものキャンプの時みたいに、大きな焚き火を作ったんだ。そしたら、『そんなにバカみたいに燃やす必要は無いだろう?』って言われてさ。そこでハッとさせられたんだ」
その時に、なにごとも最小限のもので良いんだと気付かされたそうだ。欲を張らなくても良いのだと。