ネイチャークラフト作家や野外料理人など、いくつかの肩書きを持つ長野修平さんは野外活動の達人だ。
自ら切り開いて整備したと言う自宅の裏山にある広場で、焚き火料理を披露してもらった前編に続き、ブッシュクラフトの魅力について伺った。
■その場にある素材をどれだけ活用できるか
長野さんにとって、野外での過ごし方で大切にしているものとは、どのようなことだろうか。
「その場にある素材をどれだけ使えたかっていうのが、そこに溶け込めた証だと思うし、できるだけその場にあるものを利用するのが大切だと思う。もちろん場所ごとに決まり事もあるし、自然にインパクトを残さない、という気遣いは必要だけどね」
「見出すセンスって言うのかな。木の枝にしても石ころひとつにしても全部違うでしょ。それぞれの特徴と良さを見出して、それぞれを活かしてものを作って楽しむことが僕は好きなんだ。いろいろなロープワークを覚えて使いこなすことよりも、そうやって自然のもの、そこにあるものを活用することの方が、僕は得意なんだよね」
それができたと感じた時は、いつも満足度が高いそうだ。この時も、そこにあるものの姿形を見定めて、次々と使い方を編み出して行く様には感心させられっぱなしであった。
こうあるべき、といった決めつけは一切なく、風に揺られる枝葉の様に、自由な発想で見出して作り出す。これこそがネイチャークラフト作家たる所以だし、ブッシュクラフターだ、とも言える。
「だけど、今でも知らないものは使わない。そうすることで確実に毒やかぶれなんかを避けられるから。知らない植物や場所では、何かあるかも知れないと思って臨むことが大事です」
これだけ詳しくて経験も豊富なのに、恐れる姿勢は崩さない。野外活動での事故や怪我を防ぐためには、大切なことなのだ。
