■“ジャンダルム”の稜線へ

山頂からロープや岩場を越えて「茨城のジャンダルム」へ

 「茨城のジャンダルム」と呼ばれる尾根は、山頂からさらに5分ほど歩いた場所にある。ロープの設置された岩の道を登りきると、山頂よりさらに一気に視界が広がった。

「茨城のジャンダルム」と呼ばれる生瀬富士の尾根

 尾根はやせていて、両側は切れ落ちている。一歩足を滑らせたら大けがをしてしまうスリリングな道だ。ただ、ごつごつした岩は滑りにくく、慎重に歩けば問題はない。小股でゆっくりと足を進め、ジャンダルムの先端まで行く。ダイナミックな展望に感激して思わず「気持ちいい~」と叫んでしまった。

尾根は狭く切れ落ちている、慎重に歩こう

 “ジャンダルム”の最高点、標高406m地点は360度の大パノラマだった。筑波山や那須連峰、日光の山々が一度に見渡せる。筆者が登った日は天候にも恵まれ、いつまでも眺めていたくなるような絶景に心底癒された。

 数年前まではこの場所に、穂高連峰のジャンダルムと同じように天使を形どった看板「天使のオブジェ」があったというが、残念ながら筆者が訪れた際にはなくなっていた。

■山から滝を見下ろせるスポットも

遠くに袋田の滝が見える生瀬富士の登山道

 下山は来た道を戻ることもできるが、今回は袋田の滝方面へ下りることにした。途中、水の流れる音が聞こえてきて視線を上げると、遠くに袋田の滝が見える。この距離でも迫力ある水の勢いが伝わってくるからさすがである。上からの角度で名勝を眺めるのは、新鮮な気持ちだった。

 筆者は渡渉(川などを歩いて渡ること)を避けて近くの川に下りるコースを選んだが、間近で滝を上から眺めることのできる「滝上展望台」へ行くルートもあるので興味のある方は訪れてみてほしい。川を渡って標高404mの月居山(つきおれさん)へ縦走するコースも人気が高いという。

 下山には1時間20分ほどかかり、休憩を含めトータルで3時間足らずの山行だった。岩場や見晴らしのよい絶景、名勝の滝を楽しむことができ、登山の醍醐味が凝縮されたコースだった。

 日が短くなるこの季節、コースタイムの短い低山はおすすめだ。低山だからといって侮らず、装備や防寒対策をしっかりしたうえで秋冬の低山を楽しんでほしい。

下山時は旅館の脇道へ降りてきた

 

●【MAP】生瀬富士

●【MAP】袋田の滝