■濁河温泉

濁河温泉市営露天風呂入口(撮影:鶴岡 亜矢子)

濁河(にごりこ)温泉市営露天風呂
・住所:岐阜県下呂市小坂町落合2376-1
・電話番号:0576-62-3373
・日帰り料金:大人600円、小学生300円
 ※営業日時はホームページよりご確認ください

【ホームページURL】https://httpsnigorigo-onsen.jimdofree.com/

【温泉データ】
泉質:硫酸塩炭酸水素塩泉(中性高温泉)
湯温:53.9℃
湧出量:759L/分

 活火山御嶽山の飛騨側小坂登山口標高約1,800m、日本有数の高所に湧く温泉として名高い。野天風呂のみで女性風呂は浴槽が1つであるが、男性風呂は温度の異なる2つの浴槽がある。浴槽は広く原生林に囲まれ、せせらぎと鳥の声を聞きながらの入浴は心身共に癒される。

●濁河温泉にぴったりの山

 登山の後に濁河温泉を利用しやすい山は以下となる。

・御嶽山
・継子(ままこ)岳

青さが美しい継子岳五ノ池(撮影:鶴岡 亜矢子)

 一般道のロングドライブを経て高所にある濁河温泉は御嶽山への登山のみに限られるが、一番登られるのは最短ルートの黒沢登山口(中の湯駐車場)であるため、静かな登山、静かな温泉が楽しめる。体力に不安があれば継子岳の五ノ池小屋はじめ御嶽山の山小屋に宿泊し、ゆっくりと御嶽山を堪能してから濁河温泉に浸かることをおすすめする。入浴は17時受付まで。日帰りの場合は時間配分に注意しよう。

継子岳小坂登山口を歩き出してすぐの見事な原生林(撮影:鶴岡 亜矢子)
継子岳から見える白山や北アルプスの山並み(撮影:鶴岡 亜矢子)

●【MAP】濁河温泉

 

■白馬岳蓮華温泉ロッジ

内湯もあり宿泊も可能な白馬岳蓮華温泉ロッジ(撮影:鶴岡 亜矢子)

白馬岳蓮華温泉ロッジ
・住所:新潟県糸魚川市大所991
・電話番号:090-2524-7237(衛星)
・日帰り料金:内湯と野天風呂:大人800円、子ども500円
       野天風呂のみ:大人500円、子ども200円
       内湯のみ:大人800円、子ども500円
※営業日時はホームページよりご確認ください

【ホームページURL】https://rengeonsen.main.jp/index.html

【温泉データ】泉質は風呂により全て異なり5種類
①薬師湯:酸性硫酸塩泉
②仙気の湯:単純酸性泉
③黄金湯:マグネシウム炭酸水素塩泉
④三国一ノ湯:酸性アウミニウム硫酸塩泉
⑤内湯(総湯):酸性硫化水素型含硫黄温泉
※公式サイトより

見事な紅葉に癒され入浴(撮影:鶴岡 亜矢子)

 脱衣所もなく浴槽のみ作られた数少ない貴重な温泉だ。蓮華温泉ロッジから徒歩数分のうちにぽっかりと開いた浴槽に入り、大自然と風呂を一度に満喫する。混浴であることに注意いただきたい。女性は斜面一番上の「薬師湯」に“女性専用”の札をかけて利用することもできる。ちなみにロッジ内「総湯」は脱衣所も石鹸やシャンプー等、ひととおりの設備がある。

一人入るといっぱいになる蓮華温泉「三国一ノ湯」(撮影:鶴岡 亜矢子)
一番上にある蓮華温泉「薬師湯」は女性専用の入浴も可能。向こう側の湯気は噴気帯(撮影:鶴岡 亜矢子)
ササやダケカンバに囲まれた蓮華温泉黄金湯(撮影:鶴岡 亜矢子)

 戦国武将として名高い上杉謙信が、鉱山を探してこの蓮華温泉を見つけたんだとか。

 現在も蓮華温泉では火山噴気帯から湯気が沸く様を見ることができる。

 1894年(明治27年)には、日本アルプスなどを世界中に紹介したイギリス人登山家「ウォルター・ウェストン」が来訪している。

 筆者は女性だが野天風呂に入り、雪倉岳や朝日岳の見える北アルプスの山並みを満喫した。凄まじい開放感を感じることこのうえない。

 やや熱いがさっぱりしていて、体に柔らかく染み込む内湯が筆者のお気に入りだ。

 営業期間には注意が必要である。車やバスで蓮華温泉へ行けるのは林道が開通する7月上旬から10月中旬で、ちなみに令和5年は7月5日から10月15日までであった。春も営業しているが、車ではアクセス出来ない。

●蓮華温泉にぴったりの山

 登山の後に蓮華温泉を利用しやすい山は以下となる。

・白馬岳
・白馬大池
・雪倉岳
・朝日岳

白馬大池から蓮華温泉へ向かう登山道から眺める日本海(撮影:鶴岡 亜矢子)
美しい雪渓!  白馬大池から蓮華温泉へ向かう「天狗の庭」からの7月下旬の眺め(撮影:鶴岡 亜矢子)

 蓮華温泉からの登山は夏から秋にかけて、白馬岳、雪倉岳、朝日岳をめぐり蓮華温泉へ戻るルートがあるが、体力勝負ルートとなる。ゆっくり満喫するなら白馬大池まで行きピストンで蓮華温泉へ戻るのも楽しい。もちろん白馬岳の雄大な眺めを堪能して1泊して戻るルートも素晴らしい。NHK大河ドラマ『坂の上の雲』のエンディングに使われた小蓮華山を思い出す登山者も多い。

 また体力に自信のない方にも、1周約3時間の「蓮華の森自然遊歩道」がある。沢山の種類の高山植物や山野草が咲く「兵馬ノ平湿原(へいまのたいらしつげん)」でも山と高山植物を十分に堪能できる。

●【MAP】白馬岳蓮華温泉ロッジ

 

■非火山性温泉の研究は現在進行形

 温泉は大きく分けて「火山性温泉」「非火山性温泉」の2種類である。火山性温泉はその名のとおり、火山のマグマにより温められた地下水が噴出するもので、先に紹介した「蓮華温泉」「濁河温泉」がそれにあたる。

 では「白馬塩の道温泉  倉下の湯」と「韮崎旭温泉」のような「非火山性温泉」はどうして熱いのか? という研究が産業技術総合研究所でされている。近年までは「地中は地表に比べて熱いから」というのが通説であったが、同研究所の発表によると、プレートが沈み込む時に高い圧力がかかり脱水作用により発生した熱水であるとのことである。まず有馬温泉について研究・発表し、他の地域の温泉も同様であると示唆されている。今後の発表が楽しみだ。

 日本は4つのプレートが押し合い、重なり合ってできているため、山は険しく川は急峻でプレートが沈み込むからマグマが発生し、やがて火山になる。つまり山も温泉も重なり合うプレートの産物である。そんな視点で考えながらの登山と温泉もぜひ満喫してもらいたい。