■10月、11月は体調を崩しやすい
夏から秋へ、そして冬に向かう季節の変化と共に、朝晩の気温差などが原因で体調を崩しやすい。風邪気味なのに気づかずうっかり入山すると、登山中に体調が悪化する可能性がある。
楽しみだから、同行者に悪いからとつい無理して登ってしまいそうになるが、のどの痛みを感じたり鼻水が出たりと体調の変化に不安を感じたら、勇気を出して延期にして欲しい。というのは何を隠そう過去に筆者は登山中に新型インフルエンザを発症する大失態をおかしたからだ。
初冬の奇跡的とも言える穏やかな晴天の中、筆者は燕岳山頂を満喫し、小屋前まで戻って昼食を食べていた。
いつも燕山荘の生ビールを楽しみにしている筆者が飲まないのを見て、同行者が体の具合を心配してくれた。言われて初めて気づいたが、食欲もあまりない。やはり具合が悪いのかもしれないと思った矢先、体の節々が痛み出した。
一刻も早く下山する必要があった。少しでも足を止めると震えが止まらなくなるので休まず下山した。中房温泉の登山口までたどり着くと車に乗り込み、有明荘の熱い湯に浸かったが体の震えがなかなか止まらない。体の芯までしっかり温まってから家まで帰った。
翌日も熱は治まらず病院の診断では当時の新型インフルエンザであった。今思うと同行者がいてくれて本当によかったと思う。下山する体力があったことも幸いだった。
北アルプスでは万全の体調に加えて装備と経験と体力が必要になる。ちなみに筆者は天気図の読み方を勉強した。アプリだけではなく、天気図を見て天候をしっかり確認できるようにしておくと安全度はぐっと増す。
また熟練者もときには遭難する初冬の厳しい山行に対応出来るよう、夏山、残雪期登山とステップアップを重ね、雪山のアイゼン歩行や滑落防止&停止のスキルを十分に身につけてからチャレンジしてもらいたい。
筆者の小屋泊の初冬雪山必需品を記載しておく。山によっても異なるので十分な装備を事前に揃えて出かけよう。
【11月下旬燕岳登山 実際の装備一覧 】
・登山靴(アイゼンが装着できるもの)
・アイゼン(軽アイゼンでないもの)
・ストックかとピッケル
・防寒具(目出し帽・レインウェア(防寒仕様で雪や風を通さないもの)・ダウンジャケット)
・ゴーグル(目の保護と雪目対策)
・ウールの帽子と肌着(汗をかき濡れると低体温症になるため)
・保温性の高い水筒に湯を入れる(風の強い山ではストーブが使えないことがあるため)
・手袋(ウール1組、防水性の手袋1組を天候により使い分ける)