■ギャップその4・まさかのフンを避けながらの登山!

登山道に普通に転がっているフンの山。気をつけないと登山中に踏んでしまい悲惨なことになる
登山中に羊の群れに出くわしたりと海外登山は新しい発見がいっぱいだ

 ヨーロッパでは牛や羊、馬などを放牧している農場が多く、その間を通る登山コースが多数ある為、登山中は牛のフンを避けながら進むことがよくある。場所によっては広範囲であり、下を見ながら歩かないと踏んでしまい、悲しい思いをすることになる。

 さらに、犬連れ登山者も多く、ほとんどの飼い主が犬のフンをそのままにしているので、踏まないように気をつけながら歩く羽目になってしまう。日本ではなかなか目にしない光景なのでびっくりするが、マナーが悪いと言うよりはもはや文化の違いのようで、犬のフンをそのままにするのが悪いという認識がないようだ。

 日本の登山者は「ごみは持ち帰る」というマナーが浸透しているので、山にもごみは少なく、清潔に保たれている。海外登山をすると改めて日本の山は素晴らしいなと実感させられる。

■ギャップその5・軽装ハイカー

犬と共に登山する軽装トレイルランナー

 日本では軽装で富士山を登る外国人が毎年非難されているが、海外でも軽装ハイカーが実に多い。標高2,500mを超える山は夏場でも肌寒く、筆者は長袖フリースやジャケットを着用して登山している中、多くのハイカーが半袖、短パンの軽装スタイルで清々しく横を通り過ぎて行き、びっくりした。特に北欧の人たちは寒さに強いようで、ラフな格好で登山をしているのをよく見かける。

 中には3〜4時間のコースでもリュックや水も持たずに山へ入る人達も見かけるが、喉が渇いたり怪我をしたらどうするんだろう、と疑問になり心配してしまうことがある。

 一番驚いたのが「ハイキングの聖地」と言われるイタリアのドロミテで、標高差1,000m、往復20kmの中級者向きの登山コースをリュックも持たず、短パン一丁で優雅に登っていく男性登山者とすれ違った時だ。「チャオ!」とにこやかに挨拶されたが、ギョッとして二度見してしまうほどだった。

ロングコースでもお構いなしに短パン一丁で登って行く姿はとても「ワイルドだった!」

■国や言葉が違っても、山を愛する気持ちはみんな同じ

 海外登山で驚いた日本と海外の“登山ギャップ”をいくつか紹介したが、その多くが文化や習慣、育った環境の違いから生まれるものだ。日本人はいざという時のために備えるので、外国のハイカーと比べるとどうしてもギャップにびっくりする点が多い。

 海外登山を経験すると、日本ではなかなか見られない景色や新しい発見があって本当に面白い。文化の違いはあっても、山を愛する気持ちは世界共通だろう。言葉や文化の壁を越えて、海外登山で国際交流をするのは素晴らしいことだと実感した。