芦ノ湖のワカサギはきれいな水で育つため、臭みがなく味がいいことで評判の魚。毎年10月1日に解禁される刺し網漁で獲れた初物は、皇室に献上されることからニュースにもよく取りあげられるため、ご存じの方も多いだろう。今回はそんな“釣って楽しい食べておいしい”芦ノ湖のワカサギをボートから狙ってきたので、その模様をレポートする。
■釣行前にまさかのニュース! 刺し網漁は近年まれにみる大不漁!?
これは釣行の数日前に知ったことなのだが、今年の芦ノ湖のワカサギ漁(刺し網漁)は10月第1週目の時点で近年まれにみる大不漁だという。ニュースには「3つの刺し網で獲れたワカサギはたったの20匹」。「1日分の水揚げでは少なすぎて出荷できない」などと、筆者を不安にする言葉がいくつもならんでいた。
不漁の原因は、夏の猛暑によって水温が高めに推移しているためで、冷水を好むワカサギのポイントが例年とは変わってしまったのではないか、と漁業関係者は推測。秋が深まり、水温が下がってくれば豊漁が期待できるだろうと話していた。
しかし、どう考えてみても筆者の釣行予定日までに状況が好転しないのは火を見るよりもあきらか。ここはいったんあきらめて延期しようとも考えたのだが、次回いつ芦ノ湖に行けるのかも分からなかったため、不漁を覚悟のうえで出かけることにした。数釣りが醍醐味のワカサギ釣りで、いったい何匹釣れるのか? 釣行前は不安でならなかった。
■ポイントは湖尻沖の水深25m。タナは底ベッタリ
そして迎えた当日、筆者が向かったのは芦ノ湖の北に位置する湖尻(こじり)エリア。湖尻でワカサギ釣りをするのは今回が初めてだったため、ポイントについてはボート店のスタッフにすべてを任せることにした。
スタッフが魚探(魚群探知機のこと)を使ってワカサギの群れがいる場所を探し出し、そこまでボートを引っ張って行ってくれる無料サービスがあるので、芦ノ湖が初めてという方は利用するとよいだろう。ちなみに筆者が利用した貸ボートは半日で3000円だった。
当日はこのサービスを利用して、桟橋から200mほど沖合いのポイントまで連れて行ってもらった。スタッフの話によると、このポイントの水深はおよそ25mでワカサギは底付近にいるとのこと。例年ならもっと水深の浅い場所に群れがいるとのことだが、今年はかなり異例のようだ。
ここ数日はワカサギの群れの規模が小さく、しかも群れの移動速度が速いため鈴なり(枝バリが10本前後ついた仕掛けにワカサギがハリ数と同じくらい掛かった状態のこと)の釣果を得るのはとても難しいそう。しかし10㎝超えの良型が釣れるので、途中であきらめずに1匹ずつ確実に釣っていけばかなりの重さになると励ましてくれた。