暑さのピークも過ぎ、朝晩は肌寒さを感じるようになってきた。夏の登山と言えば、シーズンが短いアルプスや2,500m以上の高山に行く人も多いが、アルプスではひと足先にシーズンを終了している山小屋もある。

 そんなときにおすすめなのが、快適に山登りを楽しめるようになる低山。今回は丹沢山地の中でも西に位置する「檜洞丸(ひのきぼらまる)」の登山ルートを紹介したい。

■丹沢山地の1,600mを超える山の一つ「檜洞丸」

 檜洞丸は標高1,601mの山で、知名度としては、大山や塔ノ岳、蛭ヶ岳(ひるがたけ)や百名山の丹沢山には劣るが、丹沢山地の中で4番目に標高が高く、西丹沢を代表する山だ。

 西丹沢ビジターセンターから檜洞丸まで標高差は1,100m以上あり、北アルプスあたりの標高差に匹敵する。危険な場所こそ少なく初心者でも行けるが、体力が必要となる、登りごたえのある山だ。

■西丹沢ビジターセンターから登るピストンルート

西丹沢ビジターセンター(旧西丹沢自然教室)は、西丹沢の登山では拠点となる場所(撮影:山歩ヨウスケ)

 筆者が登ったのは、2023年9月の中旬。標高の低い場所は、まだまだ残暑の厳しい時期だ。

 スタート地点となる「西丹沢ビジターセンター」は、登山口までのアクセスの主要道路、国道246号線の清水橋交差点から県道76号線を約14.8km、丹沢湖を越えてさらに奥に車を走らせたところにある。

 最寄りの高速道路のインターチェンジからの距離も遠く、首都圏からアクセスのいい丹沢山地の中では比較的人が少なく、静かな山登りを楽しめる。

登山口へと向かうため、キャンプ場沿いの林道を歩く(撮影:山歩ヨウスケ)

 西丹沢ビジターセンターからツツジ新道の登山口まではキャンプ場沿いの林道を歩く。10分ほどで林道右側に登山口が見えてくるので、そこからゴーラ沢出合を目指す。

 登山道に入ると道幅が狭くなるので、すれ違う時などは要注意。山腹の登山道も急な斜面になっているので、気をつけて歩きたい。

ゴーラ沢出合までの登山道。静かな樹林帯歩きを楽しめる(撮影:山歩ヨウスケ)

 西丹沢ビジターセンターから1時間ほどでゴーラ沢出合に到着。橋などは架かっておらず、ここで渡渉(川などを歩いて渡ること)を行うが、石を飛び越えて行かなければならないので注意が必要だ。

ゴーラ沢出合の渡渉。石を確認しながら慎重に進む(撮影:山歩ヨウスケ)

 筆者はここで足を滑らせて川に入ってしまった。非防水シューズだったので濡れてもすぐに乾いたが、完全防水シューズの場合、防水性が高いが、通気性には長けていないため、一度中に浸水してしまうと防水性力の高さが仇となり、なかなか乾かず不快な状態が続くので渡渉は慎重に。

 ゴーラ沢は広い河原になっており、日当たりもよく休憩にぴったりな場所。ゴロゴロと大きい石がたくさんあり、座り心地のよさそうな石を見つけて腰掛けるといい。

 ゴーラ沢出合を過ぎるとすぐに鎖のある急登になるが、足の置き場は多く、鎖場の距離も短い。ただし、ここからが急登の始まりで、ぐんぐんと標高を上げていく。