「夏が来れば思い出す」の歌詞で知られる尾瀬は東西12km、南北9kmの範囲に湿原や沼、東北最高峰の燧ヶ岳(ひうちがたけ・標高2,356m)、百名山に選ばれている至仏山(しぶつさん・標高2,228m)を有した人気のハイキング・登山スポットである。珍しい高山植物や湿原を木道を歩きながら鑑賞できるため、初心者にも人気で多くのハイカー、登山客で賑わっている。
尾瀬の魅力は自分のレベル、体力に合わせてコースをいくつか選べるところと、季節折々の尾瀬ならではの景色を楽しめるところだろう。尾瀬といえば夏の水芭蕉やニッコウキスゲの植物、鳩待峠から至仏山を眺めながら湿原を周回するルートが有名だが、10月の秋の尾瀬沼を眺めるコースもまた魅力的である。
今回は初心者でも楽しめる、沼山峠から紅葉した森を抜け、黄金に染まった草紅葉と尾瀬沼越しに燧ヶ岳を眺められる往復2時間30分の「秋の尾瀬沼周回ルート」の魅力を紹介しよう。
■沼山峠から尾瀬沼へ
尾瀬は福島県、新潟県、群馬県にまたがるエリアで、今回紹介する秋の尾瀬沼ハイキングの玄関口は福島県側。東北自動車道・西那須塩原ICから約2時間15分の御池駐車場、そこから20分シャトルバスに揺られると辿り着ける。沼山峠へのアクセスは大変なものの、尾瀬を代表とする初心者コースで、尾瀬沼への距離が短いので多くの登山客で賑わっている。
沼山峠でしっかり身支度を整え、登山届を提出したら緩やかな木道を歩き始めよう。木道がしっかりしていて歩きやすく、紅葉した森を眺めながら15分ほど歩くと峠のピーク、沼山峠展望台へ到着する。ここで軽く息を整え、さらに25分ほど歩くと黄金の草紅葉に囲まれた大江湿原に辿り着く。
湿原には大小様々な池塘(ちとう)があり、景色に飽きることなく歩くことができる。黄金に色づく湿原の中にある木道を歩く気分は格別だ。湿原を歩いていると、だんだん尾瀬沼が見えて来る。
尾瀬沼は標高1,660m地点にあり、黄金の草紅葉から見える青いコントラストが見応えのある湖だ。
黄金の湿原や尾瀬沼の景色を楽しみながら20分ほど歩くと、尾瀬で一番古い山小屋、長蔵小屋(ちょうぞうごや)が見えて来る。軽食やコーヒーなどが売られているので、ここでひと休みしながらゆっくり秋の尾瀬沼の景色を楽しもう。
長蔵小屋から引き返してもいいが、30分ほどさらに歩くと三平下という地点にたどり着く。ここからは尾瀬沼越しに燧ヶ岳を眺めることができ、黄金に色づく草紅葉、青い尾瀬沼と燧ヶ岳のコントラストが美しいので、余力があれば足を延ばしてみてほしい。尾瀬沼は1周するのに2時間30分ほど時間がかかるので、どこまで歩いて景色を楽しむかは自身の体力や予定に合わせよう。
沼山峠から尾瀬沼を周回するコースは距離も短く尾瀬沼と湿原の景色を楽しめるので、お得感のあるコースだ。木道は湿原保護のための道なので、踏み外さないよう他のハイカーとすれ違う時などに落ちないように気をつけよう。
歩きながら足元をよく観察してみると、色鮮やかなキノコが生えていることがあるので、探してみるのも楽しいかもしれない。
大清水からのコースに並ぶ、尾瀬で初心者でも楽しめる沼山峠から尾瀬沼コース。尾瀬は標高が高いので、防寒対策をしっかり準備し、天気予報を確認して安全に楽しく、秋ならではの景色を眺めるハイキングに挑戦してみてほしい。
沼山峠駐車場
・住所:福島県南会津郡檜枝岐村燧ケ岳
・御池駐車場からシャトルバスで約20分(御池駐車場は普通車1,000円、営業期間4月28日から11月1日)
【URL】http://www.ozejin-yamagoya.jp/rest/rest2/
【シャトルバス時刻表】https://www.aizubus.com
●【MAP】沼山峠駐車場
■秋の尾瀬沼の景色を眺めにハイキングに行こう
黄金の草紅葉に青い尾瀬沼越しに眺める雄大な燧ヶ岳。尾瀬ならではの秋の景色を楽しめる沼山峠から尾瀬沼周回コースは初心者でも挑戦しやすいコースだろう。他のハイキングコースもそうだが、電波が繋がりにくいので事前にルート、天気予報をしっかり確認し、登山届を出して安全なハイキングに臨んでほしい。ここでしか見られない景色を求めて、この秋はぜひハイキングに行ってみてほしい。