■筆者が見てきた鍋倉山ブナ紅葉

複雑な色が絡み合い、美しい紅葉を生み出すブナ(撮影:鶴岡 亜矢子)

 ブナ紅葉は遠くから見ると一色かと思いきや、近づくにつれ、一つひとつ微かに違う色合いのパッチワークがたまらなく可愛らしい。オレンジに変わった世界は暖かだ。また、落ち葉をカサカサ踏みながら歩くのも楽しい。

紅葉真っ盛りの鍋倉山山頂付近のブナ(撮影:鶴岡 亜矢子)

 日本海に近い豪雪地帯のため、秋から冬に向かう時季では天候が不安定になる。秋晴れの紅葉に出会えたのなら、それほどラッキーなことはない。ブナの木々がこの上ない暖かな色合いに変わり、日光に当たるとキラキラと宝石のように輝く。

暖かで眩しい晴れの日の鍋倉山ブナ紅葉(撮影:鶴岡 亜矢子)

 反対に曇りや雨のブナ紅葉は、いくらオレンジでも寂しい色合いを醸し出す。とても風情のある風景だ。
またブナは蕎麦の実に似たドングリを先端にたくさんつけるが、タネを全て食べられては生き残れないからと、3~5年に一度、豊作と不作を繰り返すそうだ。

クロサンショウウオが生息する鍋倉山登山道上の池(撮影:鶴岡 亜矢子)

■鍋倉山の紅葉を見に行こう

 鍋倉山を歩くためには、いくつかコースがあるが、筆者のおすすめは、信越トレイルの基点でもある関田峠からスタートし、鍋倉山を通過後、仏ヶ峰登山口から戸狩温泉に下山する8.2㎞のコースだ。

 片道切符なので、麓の戸狩温泉に一泊し、宿の方にお願いし関田峠まで送ってもらい、戸狩温泉の民宿旅館に駐車した車で帰る。自家栽培の米や野菜、戸狩温泉の茶色の湯を堪能してから登る鍋倉山は、筆者の秋のゴールデンコースだ。

 現在はWEBサイト「信越トレイル」記載の回送サービスも利用できる。これは事前に決めた待ち合わせ場所でスタッフと合流し、スタート地点に移動。トレイルを歩く間にゴール地点にマイカーを配車してくれる便利なサービスだ。

 反対に仏ヶ峰登山口から茶屋池関田峠に向かってもよい。料金は距離によって違うため、WEBで確認の上電話で問い合わせよう。

 そして、鍋倉山と隣の黒倉山の間に、通称「巨木の谷」へと向かう登山道がある。今は亡き森太郎と森姫が生きた巨木達の谷だ。遠回りになるが、長い時をゆっくり過ごすブナの巨木達を感じてほしい。道標に従って歩けばまた信越トレイル登山道に戻れる。

鍋倉山巨木の谷に生きる大きなコブのあるブナ(撮影:鶴岡 亜矢子)

 鍋倉山の紅葉時期は、早ければ9月下旬から色づき始め、大体10月中旬にピークを迎える。晴れていれば三国山脈や苗場山、志賀高原も信越トレイルを歩く最中でちらちら望む事ができる。雨具や防寒具は忘れずに。動物を観察するために双眼鏡があると尚よいだろう。リスやウサギ、カモシカに会えるかもしれない。

 ちなみに2023年は数年に一度のブナの不作の年となっている。信越トレイル地図裏面にも関田山脈のほぼ全域にクマが生息していると考えられるとの記載があり、筆者もフンや爪の跡を何度か目撃したことがある。入山の際は、鈴を鳴らすなど対策を忘れずに。

 この森がいつまでも美しく輝くように、近くの集落の方々や野生生物への配慮のうえ、事前にWEBサイトなどで確認したうえで楽しもう。

 

●なべくら高原・森の家

〒389-2601 ⻑野県飯⼭市照岡1571-15
TEL:0269-69-2888

URL:https://nabekura.net/

●信越トレイル

URL:https://www.s-trail.net/

●飯山代行センター(回送サービス)

TEL:0269-67-2351

URL:http://www.iiyama-catv.ne.jp/~kitashinanokosan/page013.html

●信州いいやま観光局

〒389-2253 長野県飯山市飯山772-6
TEL:0269-62-7000(年中無休 8:30~18:00)信越自然郷 飯山駅観光案内所

URL:https://www.iiyama-ouendan.net/

※この記事の情報は2023年9月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。