■山小屋から40分、白山最高峰御前峰(2,702.1m)でご来光

だんだんと朝日に照らされていく残雪の大汝峰(撮影:兎山 花)

 翌朝、日の出の約1時間前に室堂を出発して白山最高峰の御前峰に向かう。ヘッドランプの明かりが続々と続き、山頂に到着した頃はすでに沢山の登山者でいっぱいだった。快晴で山頂は360度の眺望があり、御嶽山、乗鞍岳、北アルプス、そのさらに奥に中央アルプスまで見えた。

 ちょうど北アルプスの山々の間から太陽が昇り、その光は剣ヶ峰、大汝峰を徐々に照らしていく。

 ご来光のあとは、室堂方面へ下山していく登山者もいれば、そのままお池巡りに出かける登山者もいる。お池巡りに出かけるならコースにもよるがさらに1〜2時間が必要である。

■下山は砂防新道で

白山室堂ビジターセンターから見える白山最高峰の御前峰、手前の建物は白山比咩(しらやまひめ)神社の祈祷殿
(撮影:兎山 花)

 お池巡りを楽しんだあと、室堂に戻り荷物をピックアップして下山を開始する。山小屋のチェックアウト時間8時30分に間に合うのであれば大きな荷物は小屋の自室においておけるが、特に鍵はかからないので、貴重品は必ず携行しよう。

 室堂からは黒ボコ岩経由で砂防新道を利用して下山する。登山者は多いが、このルートは下山の所要時間が2時間30分と短く、急な下りもない。また、水場が数か所あるので途中必要な水分をくみながら下山できるのも良い。下山時は体力も消耗しており、疲労も蓄積しているのでなるべく背中も軽くして下山したい。上りに利用した観光新道は急な下りがあるため、下山時にはおすすめできない。

■余裕のある山行は安全登山への第一歩

弥陀ヶ原の木道、遠くに別山が見える(撮影:兎山 花)

 過去に白山には何度か登っているが、室堂で宿泊したのはこれがはじめてだ。日帰りだと帰りのバスの時間を気にしながら歩かなければいけないが、山小屋で1泊できると気持ちと時間に余裕ができ、あせらずのんびりと山行が楽しめる。また、室堂に泊まったからこそ山頂からのご来光を拝むこともできた。

 時間に余裕があったので今回はじめて観光新道に挑戦してみたが、五輪坂の上りは思いの外きつかった。登るには覚悟と体力が必要だ。しかし、体力があるなら水分を十分に用意して、一度は観光新道に挑戦してみてほしい。そこでは高山植物のお花畑と、静かな稜線歩きが待っている。

観光新道、群生して金色の海をつくるミヤマキンポウゲのお花畑(撮影:兎山 花)

【参考】各区間の所要時間
1日目:別当出合登山口〜観光新道〜白山室堂ビジターセンター/所要時間 登り約5時間
2日目:白山室堂ビジターセンター〜白山御前峰往復/所要時間 登り約40分、下り約30分
白山室堂ビジターセンター〜砂防新道〜別当出合登山口/所要時間 下り約2時間30分

【MAP】