白山とは石川、岐阜、福井の3県にまたがる「日本百名山」のひとつで、最高峰の御前峰（ごぜんがみね、2,702.1m）を中心に、大汝峰（おおなんじがみね、2,684m）、剣ヶ峰（けんがみね、2,677m）、別山（べっさん、2,399.3m）を主峰として構成されている峰々の総称だ。
夏には高山植物のお花畑が広がることから「花の百名山」とも言われている。
また古くより信仰の山でもあり、白山山頂は「禅定（ぜんじょう）」とも呼ばれ、その霊峰には3つの修験道「加賀禅定道」、「白山（越前）禅定道」、「美濃禅定道」が続いている。
2023年6月24日（土）から6月25日（日）にかけて3つの禅定道のうち、福井県勝山市の平泉寺白山神社より山頂まで続く白山禅定道の一部、観光新道で登頂した1泊2日の白山ご来光登山をレポートする。
■白山へのアクセス
毎年7月1日から10月中旬頃までの開山期間中、市ノ瀬ビジターセンターから白山登山口の別当出合までの区間約6kmは週末を中心にマイカー規制が実施される。規制日は市ノ瀬ビジターセンターの市ノ瀬駐車場に車を駐車し、有料のシャトルバスを利用して別当出合登山口へ向かうが、規制日、規制時間以外は別当出合まで車でアクセスできる。
毎年規制日、規制時間、シャトルバス運行日、運行時間は変わるので事前に必ずHP等で確認しよう。
白山登山バス
・076-249-7300
※営業日時はホームページよりご確認ください
【URL】https://map.ishikawa.jp/hakusan-bus/
■観光新道までは急登の連続！ 室堂まで水場なし
別当出合登山口から山頂までは大きく2本のルートがある。多くの登山者によく利用される砂防新道と、いきなり急登からはじまる今回のルート、観光新道だ。
別当出合から観光新道の稜線へ出るまでの五輪坂は長い急登が続くので、落石に気をつけながら慎重に登っていこう。上部に行くほど傾斜はきつくなり、特に雨上がりは岩と土でできた登山道が滑りやすいので注意が必要だ。急登が終わると白山禅定道の一部、観光新道にとりつき稜線歩きとなる。
観光新道は晴れていれば見晴らしがよく、西側に見える稜線、釈迦新道上に鎧状の山肌をした白山釈迦岳の姿が見える。また、砂防新道と比べてお花の数が多く登山者の数も少ないので、のんびりと気持ちの良い稜線歩きが楽しめるのがこのコース最大のポイントだ。一方登山者の多い砂防新道は、登山口から約4時間で白山室堂ビジターセンターまで辿り着け、途中トイレや水場も2か所ある。
観光新道を登る場合、途中トイレは1か所しかなく、室堂まで約5時間ほどの登りが続くので覚悟が必要だ。さらに観光新道は尾根歩きで日光を遮る樹林も少ないので、夏場は十分な水の量を確保して登らなければならない。
■山小屋「白山室堂ビジターセンター」に泊まる
白山最高峰の御前峰まで、登りで約40分という立地にある収容人数750名の大型の山小屋「白山室堂ビジターセンター」で1泊した。白山はその名の通り1年の半分以上が白い雪に覆われているため、雪解け水が豊富で、夏場でも山小屋の水場の蛇口からは冷たい水が流れている。開山期間中はチップ制のウォシュレット付きの水洗トイレが利用でき、それ以外の期間は汲み取り式のトイレのみを利用できる。
ただし、くれぐれも水場やトイレ内で石鹸や洗剤を使用したり、トイレに指定されたもの以外のものを捨てるのはやめよう。
売店では白山グッズやオリジナルTシャツ、軽食、ビール、飲料などが売られ、夏期はビジターセンター内に山頂郵便局が開設されるのでここから手紙を投函することもできる。ただし、期間中でも悪天候の場合は休業となる。
ビジターセンターには5つの宿泊棟があり、「御前荘」「こざくら荘」「くろゆり荘」は相部屋、1泊2食付きの宿泊棟で開山期間のみ利用でき、「白山雷鳥荘」は完全個室で「白山荘」は素泊まりのみ利用できる自炊棟である。筆者が宿泊した開山前の6月は、素泊まり営業のみのため、自炊できる白山荘限定で予約を受け付けていたが、白山荘は満室だったため御前荘に素泊まり利用することになった。スタッフの方も例年にはない開山前の満室に驚いていた。
筆者が宿泊した御前荘は、上下二段の蚕棚（かいこだな）式仕切りつき大部屋で棟内での飲食は可能だが、自炊ができないので筆者たちは外のベンチで自炊をした。
白山室堂ビジターセンター
・076-273-1001 予約専用 受付時間 午前9:00～午後17:00 (年末年始は休み)
※営業日時はホームページよりご確認ください
