■涼しく開放的な緑の高原でキャスティング練習!
フライフィッシングには数多くのメソッドが存在するうえ、道具立て、用語なども複雑で難解なのは否めません。
まず午前中は初心者向け、未経験の人に向けて、フライフィッシングのメカニズムを図解と実演を交えながら講習してくれました。実は今回のフィッシングキャンプの半分以上は経験者、しかも熟練の方が多かったのですが、かなり熱心に聞き入っている様子でした。
その後、それぞれにキャスティング練習を始め、個別にアドバイスをしてもらいます。初めてフライロッドを振るような初心者でも、しばらくすると見事なループを描いてラインが伸びていきます。また、釣りの経験を重ねるうちに突き当たる“壁”を越えるためのアドバイスしてもらえたので、(筆者も含め)大いに実りある時間でした。
会場は奥志賀高原ホテルの前の緩やかな芝の斜面だったのですが、開放的な高原リゾートの雰囲気を満喫しながらロッドを振るのが爽快で、これだけでも楽しい時間でした。
■いざフィールドで実釣! 初対面なのに一体感?
午後は2グループに分かれ川へと移動しました。実際の釣りで狙うポイントやフライをどう流すか、そのためのキャスティングを教えてもらいます。初心者向けのレクチャーを基本にしながらも、ナチュラルドリフト(自然にフライを流す)のための立ち位置やメンディング(フライの自然な動きを妨げるラインの状態を修正する)方法など、具体的で細かいテクニックは非常に勉強になります。
交代しながらの釣りになるために待っている時間の方が長いのですが、自分自身にも役に立つアドバイスが盛りだくさんなため、決して退屈な時間ではありません。和気藹々としながらも多くを学び、次回以降の釣りに活かそうとする皆さんの真剣さが伝わってきました。
初対面にも関わらず、いつの間にか一体感も生まれていました。見学していても自分が釣りをしているような思いがあります。その分、釣りをしている本人が一番大変で、背後から参加者の熱い視線を感じます。順番が回ってくるのが嬉しいような、怖いような……。いつもプレッシャーを受け続けている魚の気持ちが分かる? 掛け損なった時に口を揃えて発せられる、「あ〜……」というため息も、決して非難するのではなく、心から残念な気持ちを共有していました。
2日目はゆっくりと朝食を食べ終わった後、3グループに分かれて入渓しました。
雨の後ではありますが水量は落ち着いており、30年ほど雑魚川に通っている筆者にしてみると、ローウォーターでかなり厳しいコンディションです。それでも、キャンプを通して参加者の多くが一匹以上、美しい雑魚川の天然イワナを釣り上げていたので釣果としては十分でしょう。
一匹を釣り上げるのに苦労する分、他人が釣った魚でもまるで自分が釣ったかのように歓喜の声を上げ、一緒に喜び合う姿が印象的でした。