ここのところ、梅雨らしい空模様としっとりとした雨が続いている。長く山歩きを続けていると、そんなしっとりした雨の中でも、自分なりに山を楽しむためのコツを持てるものだ。気持ちの面を整えることだったり、雨に備えた衣類や道具を試す絶好のチャンスととらえてみたり。雨ならではの風景を楽しめるコースの選び方だったり。

 雨によって魅力が増すコースを僕なりに考えてみると、次の3つの条件を満たしているように思う。雨にけぶる神秘的な樹林帯やコケの美しい山であること。水の流れる場所よりも高い位置に遊歩道が整備されていること。そして少し離れた位置から滝を眺められること。

 今回はこれらの条件を満たす山から、首都圏近郊のおすすめルートを1つ選んでみた。いざ、出発!

滝を目指して低山縦走! 秘境感あふれる南房総「坊滝」

鬱蒼とした雰囲気の中、白糸のような滝に癒される

 千葉県の最高地点は、愛宕山の408m。高い山はないものの、千葉県は独特な雰囲気の低山に恵まれている土地だ。とくに黒潮の影響が大きい南房総は、奥多摩などとはまったく異なる植生を持ち、山上からの眺めも「海と丹沢と富士山」をいっぺんに眺めることができる。この景色は千葉ならではのもの。

 低山ばかりだとはいえ、千葉県は魅惑の渓谷や滝が意外と多い。山があるところには必ず谷もあるもので、たとえばこの「坊滝」は、とにかく奥深い山地にひっそりと水を落とす姿が秘境感抜群で、ぼくの好きな滝のひとつ。ふだんは水量が少ないことが多いため、雨後のタイミングで行くと迫力ある坊滝を拝むことができる。

 滝つぼの間近まで下りるころができるけれど、水量が極端に多い場合は、沢よりも高いところにある見学スペースから眺めるようにしよう。

晴れれば、富山三山のほかの二座(富山、伊予ヶ岳)もこの通り