■増間ダムからが最短ルート

 増間ダムのふもとに駐車場と遊歩道入口があり、ここから歩き始めるのが最短ルートだ。よく整備された道だけど、ところどころ急峻な木の階段になっている。道すがら増間七滝と呼ばれる連続する滝が出現すると、その上流に坊滝が現れる。

 坊滝とは、山の麓にあった大日山閻魔寺のお坊さんが身心を清めるためにおこなった水垢離(みずごり)の滝ということが由来で、その名がついたという。水量の多い少ないにかかわらず、落差25mほどの岩盤を伝う水の清らかな流れは、たしかに身を清めるのに適しているように思う。

大日山の頂で見かけた大日如来。ここから山の名がおこった

 ついでながら、滝の上流から登って、大日山を目指してみるのも楽しい。広い山頂にたどり着くと、そこに大日如来を見つけることができる。この仏さまこそ、山名の起源。そばに真新しい木札があることから、いまでも修行者がお詣りに訪れる信仰の山だということがわかる。

 大日山は南房総を代表する低山であり、この地域の主要な山岳「富山三山(とみやまさんざん)」の一座に数えられている。ほかは、南総里見八犬伝で知られる富山(とみさん)、日本武尊が御殿を構えたと伝わる御殿山(ごてんやま)。ぼくはその御殿山の北麓から登って坊滝に向かうコースがお気に入り。

整備された道をゆく。わりと急な階段が多い印象

 新緑がまばゆい一方で、山道は植物で鬱蒼として隠れてしまう。千葉の山々は、標高は低いものの道迷いが多いエリアとしても知られている。登山地図アプリを活用して、道順と現在地をこまめに確認することをおすすめしたい。

<低山トラベラー厳選。坊滝周辺の立ち寄るべきスポット>
・【駐車場①】増間ダムの南麓の駐車場から棒滝までが最短ルート。トイレあり
・【駐車場②】御殿山の北麓の駐車場からは、いくつかの山を越える縦走路。トイレあり
・【ビーチ】岩井海岸のビーチでのんびりも◎
・【道の駅】富楽里とみやまの総菜が美味しい。アジフライ、さんが焼き、おにぎり!
・【追いハイク】平群天神社(へぐりてんじんじゃ)から伊予ヶ岳。絶景!
・【追いハイク】南総里見八犬伝の富山は双耳峰。とくに北峰が絶景!