■蛇対策グッズも活用して咬傷を防ぐ

 上記のようなポイントを理解してマムシ咬傷を防ごうと注意していても、マムシとの接触を100%避けることは難しい。そこで、咬傷をさらに減らすために有効なのが、蛇対策グッズ。

 蛇が地面にいる場合、短パンで藪を歩けば、足首から脛にかけて無防備になってしまう。

 厚手の生地のズボンと、さらに足首周辺に追加で装着する「ゲイター(ゲートル)」と呼ばれる装備を用いる手段もあるが、マムシの牙は貫通する。登山靴など分厚い靴と合わせて使用するのが望ましい。

マムシ対策グッズではないが、トレッキングポールも使い方次第(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 藪に入る際、トレッキングポールで草を掻き分けて足元の視界を確保する慎重さも重要だ。持っていれば、登山中に藪に遭遇した際も安心感があるだろう。

トレッキングポールは伸縮機能がついているとさらに利便性が高い(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 ただし、トレッキングポールを持っているからといって不用意にマムシを刺激するのは避けるべきだ。

 また、山菜採りやキノコ採りで藪に手を伸ばしたときに噛まれるケースでは、マムシの咬傷は指先など手の被害が多い。

 一般的な軍手では、厚みによっては貫通してしまう。過去にマムシ咬傷が発生したエリアやマムシを見かけたことがあるエリアでは、用心のために軍手ではなくペットショップや動物の飼育員が使う保護手袋を使用するのもよい。

 キャンプなどで長時間同じ場所に滞在するときには、管理人に確認の上、忌避剤などの設置や散布も安全策として有効だ。

■万が一マムシに噛まれた場合の処置

 マムシ咬傷の場合、一刻も早い血清の投与が必要で、「マムシによる咬傷」が明確であれば、より救急隊や医師の処置はスムーズになる。

 もちろん、咬傷を受けた本人や同行者が該当の蛇を撮影できれば理想だが、難しい場合には視認でも、確実にマムシであるという判別ができれば処置の助けにはなるだろう。マムシの姿や模様、色などをよく覚えておくことが有効だ。

 なお、「マムシに噛まれたら、噛まれた場所を口で吸って毒を抜く」や、「傷口を開いて洗う」という処置が古くから知られているが、こうした切開・吸引と呼ばれる処置を素人が行うのは好ましくない。救急車到着まで指示を聞き、確実に実施することが最善策だ。

 マムシの危険性を認識し、万一噛まれたときに一刻も早く救急隊の連絡、伝達するべき事柄などを整理しておくという基本的な対策を講じたうえで、夏のアウトドアを存分に楽しんでほしい。