■2つ目の理由:襟があり、バックパックのショルダーハーネスが首に当たらず快適

普段使いのデイパック。ショルダーハーネスの首への当たりが気になる (撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

 Tシャツを着てバックパックを背負うと、バックパックのショルダーハーネスが首に直接当たって痛い。普段使いのデイパックだと気にならないが、登山用のバックパックの分厚くて幅の広いショルダーハーネスが首に当たるのは、ストレスが大きい。

 タオルを当てるなど、何かしらの対策が必要だが、襟があると首が守られ、安心して歩ける。

■3つ目の理由:襟や長袖はお手軽な日焼け対策

 首を守るという点では、襟があることで首の後ろが日差しから守られ、日焼けを防ぐ効果もある。 

 腕の日焼け問題も重要だ。夏場は半袖シャツの解放感に心がひかれるが、日焼け対策を考えるとなかなか選べない。アームカバーもいろいろ試してみたが、 装着するのがわずらわしく締め付け感も苦手。日焼け止めクリームをこまめに塗るのも面倒だ。

 その点、長袖ハーフジップシャツは、着るだけで夏の日差しや紫外線から首筋と腕を守ってくれるので、お手軽なアイテムといえる。

 山の日差しを舐めてはいけない。日焼けによるほてりで身体が疲れやすくなり、筆者は晴天続きの縦走でひどい日焼けをしてしまい、水泡ができた経験もある。

■4つ目の理由:生地の素材を選べば、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる

12月、頂上のランチタイムは、パタゴニアの「キャプリーン3」の上に薄手のフリースジャケットで十分 (撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)
左の2枚は冬用の温かい素材のもの、右の2枚は夏用の涼しい素材のもの。いずれも長く愛用している (撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

 筆者は寒い季節は、パタゴニアの「キャプリーン3(現行のミッドウエイト)」のハーフジップシャツを選んでいる。キャプリーン3はとても暖かく、冬でも登りはこれだけで十分ということが多い。なお、ランチ休憩ではレイヤリングを忘れずに。

 暑い季節は、薄手の長袖ハーフジップシャツを選んでいる。夏向けの製品は、吸汗・速乾性に優れた、通気性と冷涼感のある生地が使用され、紫外線もカットしてくれる。

 暑い季節は涼を求めて標高の高い山に登ることもあり、登り始めは多少暑くても、標高が上がっていくと快適に登ることができる。

 筆者は夏も長袖で山に登るが、家を出るときは半袖Tシャツで、登山のスタート地点で長袖ハーフジップシャツに着替えている。しかし近年は猛暑のため、高地にもかかわらず平地並みの気温も珍しくない。

 熱中症の心配もあるので、何が何でも長袖というわけではなく、状況に応じた判断も必要だ。

■快適なウェア選びのすすめ

 このような理由から、機能重視で選ぶと、筆者にとって快適なウェアは長袖ハーフジップシャツとなる。

 しかし、「快適さ」の感じ方は人それぞれ。汗のかき方も一人ひとり異なり、首周りが詰まっているウェアに違和感を覚える人もいるだろう。

 快適に過ごすことができるウェアは、登山ライフのクオリティを上げてくれる。自分のこだわりを持って、機能重視で選んでいただきたい。

 ファッション界でハーフジップがトレンドである今だから、登山ウェアにおいてもハーフジップにもっと光が当たってほしいものだ。