同じ名前の山が複数あるのは珍しいことではないが、なかでももっとも多いのは“城山”だ。それはナゼか?

■日本全国には同じ名前の山がいろいろとある

 山の名前は商標ではなく、また、ほとんどが古の時代にいつの間にか命名されたものなので、ダブリはごく当たり前のようにあるものだ。

 たとえば「駒ヶ岳」という山は全国各地にある。

 しかし、甲斐駒ヶ岳(2,967m)、木曽駒ヶ岳 (2,956m)に代表されるような立派な山に限定して名付けられる傾向があるためか、数としては20強に留まっている。

 では、日本でもっとも多くの山に名付けられている名称は何だろうか?

 「山」の定義は一定ではないため、公的機関が認定したものではないが、それは「城山」だとされる。読み方は、しろやま、じょうやま、きやま、ぐすくやま、じょうさんと様々だが、とにかく「城山」という山は多い。

苗木城(岐阜県中津川市)巨岩、奇岩の上に築かれた摩訶不思議な城で、日本の城ベストランキング100の「絶景!山城ベスト10」ではなんと1位に!

 全国区的な知名度のあるメジャーな存在は見当たらないが、標高が1,429mある長野県木曽郡の開田高原にあるものから、静岡県浜松市にある標高80m程度の小山まで、全国に大小200以上は存在するのだ。

 「城山」がそんなに多い理由は、日本の歴史における「城」のあり方と大いに関係がある。

■古来、日本の「城」は平地ではなく山の上にあった

 日本の「城」のイメージは、天守閣や、石造りの豪華な建物というのが一般的だろう。

 安土桃山時代以降に生まれたそれらは「近世城郭」と呼ばれ、たとえば名古屋城、二条城、駿府城、広島城のように平地、もしくは大坂城、江戸城、姫路城、熊本城のように平野にある丘陵部に建てられたものだ。

 しかし、当時、支配者の権力の象徴ともなったそれらの城は、「日本の城史」全体を俯瞰すると、ごく後期のものである。

 それ以前、飛鳥時代から戦国時代末期までは、城を建てる場所は山の上だった。

 厳密には古代と中世とでは城の傾向は異なるものの、いずれも、利便性よりも軍事的な面を優先した結果である。つまり、高いところに本拠地を構えれば、攻めてくる敵の攻撃を困難にし、かつ広い視野を確保できるからだ。

 なお、城は高地にあった方が軍事的に有利だという考え方は日本に限ったものではなく、たとえば古代ギリシアのアクロポリスも山の上に建設されている。

 前置きがいささか長くなったが、ここからようやく本題に入る。地域を問わず国内のあらゆる場所に存在した山の上に建設された城は「山城」と呼ばれる。

中世の山城の跡。このように山に面して設計された