人と触れ合わずにすむ「自分の山」のニーズが高まっている。さて、実際に山を買うとは、一体どのようなことなのだろうか?

■「山を買う」うえで重要なポイント

●一般的には、山を丸ごとではなく、一部の区画が売買されている
●住宅地の土地を買うより遥かに安い
●土地とそこに生えている樹木の査定価格が物件価格となる
●固定資産税は割安である
●条件がよければそれなりに高いし、悪ければ安い
●専用サイトもあるが、地元の不動産業者などでも扱っている
●基本、上下水道、電気は通っていない
●キャンプ目的なら買ってからの維持管理が求められる
●とにかく、全部自分でやる必要が生まれる
●相続の際に困り物となる可能性もある

■実際に売買されるのは「山」ではなく「山林」

 ここ数年、「山を買った」「山は意外に安い」といった話が聞かれることが多くなった。

 実際、山の売買は活発に行われているという。ただし、確認したいのは、ここで言う「山」とは、麓から頂上まで、まるごと全部を指すものではないということである。

 山は地権者が複数いる場合が多く、全部が一人の私有地ということはめったにない。国有地や公有地であるケースも。

 したがって、仮にジェフ・ベゾスやイーロン・マスクが全財産を叩いたとしても、たとえば富士山をまるごと1個買うことは不可能なのだ。

お金の問題ではなく、山全体を買うことはできない

 実際「山を買った」と言っている人が買ったのは、正確には「山の1区画」、いわば「山林」だ。といっても、それは決して「キャンプサイトを1区画買う」といったイメージとは違う。まったく異なる。

 たとえば、以下に紹介するような近畿地方の4.25haの物件は、ちょっとワクワクする広さだ。何しろ、サッカーコート(0.714ha)の約6倍なのだ。

 しかも、プライスはちょっとした新車を買うより安いのだから、俄然やる気が出てくる。山林は元々の土地評価額が低いため、固定資産税も割安である点にも注目したい。

 さて、購入を検討する場合は、今は専門業者のサイトがあるので、まずはそれを眺めることから始めるべきだが、売買に際しては地域の不動産会社や、森林組合が窓口となる場合もある。

 価格は、地理的条件や広さにもよるが、どんな樹木が生えているかも査定基準になる。当然、都市部から近い、近くまでクルマで入れる、川が流れているといった使い勝手のいいところはそれなりに値段も高くなる。

 一方で手つかずの山には、上下水道も電気も引かれていない点も頭に入れておきたい。近くに舗装道路がないどころか、満足な道がないケースもある。

 キャンプ目的なら、平地がある土地を探すことになるが、あっても、利用できるように草木を刈るなどのメンテナンスをする必要がある。しかも、それを維持しなければならない。それが誰からも干渉されない対価ともいえる。

 また、将来的に自分の財産を誰かが相続する段階になって、「山」がトラブルの元になる可能性もある。いろいろと考慮したうえで決断すべしなのだ。

ちょっと頑張れば、こういった山林が買える

■販売されていた物件の例

●関東地方某県の物件:約2.05haで140万円程度

 県庁所在地よりクルマで1時間以内でアクセス可能。現地まで続く里道が整備されており、スギ・ヒノキの人工林などがあるという。

●中部地方某県の物件:約0.56haで100万円程度

 高速道路のICよりクルマで約10分。渓流沿いにある、共有名義の舗装道路に面し、上水道と電気も流れているという。

●近畿地方某県の物件:約4.25haで200万円程度

 県の南西図に位置し、有名な川が流れる市にある。駅から見える、いわば駅前山林であり、ナラやクヌギなど雑木が自生しているという。

※上記は実際に販売されていた物件を例として挙げたものです。現在も販売されているとは限りません。