■葡萄畑で学んだ「ビオワイン」の秘密
翌朝、朝食前にマスコット犬ジェスの案内で丘の斜面一帯に広がる葡萄畑まで足を延ばした。澄み切った朝の空気をたっぷり吸い込みながら、爽やかな散歩を楽しむ。
畑に咲き乱れる白と黄色の野草は単なる雑草だと思い込んでいたのだが、実はこの野草こそが高級ワイン・ブルネッロの中でもさらに貴重な「ビオワイン」の元となる重要な要素であるということを、昨日ジャコモに教えてもらっていた。
「ビオ」とはイタリア語の「ビオロジコ」の略で、一般に有機農法、有機栽培などを指す。Il Coccoも全てにビオを取り入れている農園で、ここの葡萄は化学肥料や除草剤とは無縁の環境で育つ。この黄色と白の野草は葡萄の木の間にびっしりと植えられているのだが、その理由は野草の「根」にある。この2種類の野草の根の部分には窒素が豊富に含まれている。そのため、この野草を葡萄の木の脇に植えることで窒素が土に浸透し、その窒素を豊富に含んだ土が豊富な栄養を葡萄に与えてくれるのだそうだ。
ジャコモら四兄弟のお父さんは、がん研究を専門としている現役の医師。がんと食事・食材の関係について長年に渡り研究し続けているお父さんと日々話し合い、学び合いながら、ジャコモは「より自然な方法で、より体に良いもの」を探求し続けているという。
「自然界にあるものは全て、お互いが支え合って循環しているんだ。無駄なものなど何もない」と語るジャコモは、周囲の自然を理解し、その自然と共に生きることの大切さを教えてくれた。