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■穏やかな自然の息吹に癒される午後のひととき
ジャコモの熱意あふれるレクチャーと、極上のワイン&グラッパにたっぷり酔いしれたテイスティング・ツアーを終え、グラスを手にしたまま木陰のベンチで一休み。極上の赤ワインはスルスルと喉を通り抜け、なぜかいくら飲んでも酔わないから不思議だ。夕食までまだ間があったので、農園のマスコットである3匹の犬達と遊んだり、散歩をしたり、ツアーに参加していたファミリーとワインを飲みながらおしゃべりに興じたりしながら、穏やかなひとときを過ごす。
部屋にはテレビもパソコンもない。WiFiは一応あるのだが、なにしろ600年以上前に分厚い石を積み上げて造られた建物なので電波はほとんど入らない。スマホはとっくに電源を切って部屋に置いてきた。こんな風に電子機器から完全に切り離された時間を過ごすのは、一体何年ぶりだろう? 空を見上げ、ゆっくりと傾いていく太陽の動きを見つめながら、そんなことを考える。
糸杉の影がだんだんと濃くなっていくに連れ、空気も少しづつ、ひんやりと肌寒くなってきた。頭を空っぽにして、五感で感じる自然の息吹は、どんな慰めの言葉よりも心を癒してくれる。