東京都府中市の「浅間山公園」。新宿方面からは右に見える競馬場。左はビール工場の少し手前くらい。東京都内にある代々木公園や上野恩賜公園といった誰もが知るメジャーな存在の公園というわけではない。しかし、浅間山公園は「ムサシノキスゲ」が唯一、自生する場所として貴重な存在となっている。
■武蔵野の原風景が残る丘陵公園
多摩地域の台地が河川で削られ、小高い丘として残ったものが今の浅間山公園。丘陵公園らしく園内には堂山、中山、前山と3つの頂を有している。浅間山公園、最高標高地点となる堂山(標高80m)の頂上には浅間神社があり、ちょっとしたトレッキング気分で参拝するのもいいだろう。
園内は武蔵野の原風景が残る雑木林に覆われている。この季節は新緑が鮮やかで、歩いているだけで自然に癒される。
浅間山公園の春の風物詩といえば、この公園のみに自生する「ムサシノキスゲ」。凛々しく咲く貴重な姿を今年も見せてくれている。
■東京都の保護上重要な野生生物種にも指定される希少種
かつては多摩地域に広く生育していたムサシノキスゲ。高山植物として広く分布する「ニッコウキスゲ」が温暖で標高の低い土地に適応した変種とされている。
近隣地域を含めた開発によって、自生地は減少。現在、ムサシノキスゲが自生するのは浅間山公園だけ。この貴重な自然環境を守るために地域の市民団体の手によって保全が行われている。
■ムサシノキスゲとキンランの黄色が眩いほどに斜面を彩る
春になり、新緑の緑が美しい浅間山公園。その中でムサシノキスゲが凛々しい姿で咲きほこっている。園内はムサシノキスゲの他にも同じく貴重なキンランも自生し、小さくも可憐な花を咲かせている。ムサシノキスゲとキンランが咲き乱れる黄色の共演はまさに今、ココでしか見れない風景と言っていいだろう。
都心からもほど近い、東京郊外の府中市。住宅街のなかに突然あらわれる小高い丘の公園は地域住民に護られ、その自然環境を維持して貴重な花々が咲いている。
みなさまのお近くにも大切にしたい自然環境はありませんか? GWは混んでいる観光地ではなく、近場の自然を楽しむというのもアリですよね。
●施設概要
浅間山公園
〒183-0001
東京都府中市浅間町4丁目 若松町5丁目
TEL 042-361-6861(武蔵野公園サービスセンター)
開園時間:常時開園
入園料:無料