■雪不足、悪天候に悩まされた2023年の大会

スタート地点にはかろうじて雪がある程度

 今年37回目の開催となったピエラメンタ。筆者の出場までの道のりは長かった。じつに5年目の正直である。

 最初にアプローチした2019年はチームメイトに参加を断られ、2020年はエントリーしたものの、出発前日にコロナの影響で大会中止が決定。2021年同じくコロナで大会中止、2022年は小規模で開催されたものの日本国内の状況を踏まえて遠征できず。そして念願叶った2023年だ。

 しかし、今年のヨーロッパは記録的な雪不足。さらに大会日程には運悪く気温が上がり、天候は荒れ模様。これによりコースは大幅に変更、縮小ルートがとられ、スタート地点は山の麓だったが、フィニッシュは山の上という、登り勝負のコースとなった。テクニカルとされるスキー滑走はなかった。

 さらに3日目のレースは悪天候で中止、最終日も荒天で雪崩の危険が高まりスキー場内でのショートコースに変更。本来の目的である10000mの半分ほどしか達成できない大会となってしまった……。

■ビック3達成のあとに

4日目のレースフィニッシュ後の筆者。感無量!

 筆者は2017年メッツァラーマ、2018年PDGに出場しており、今回ピエラメンタに出ることで、ビック3すべてに出場することができた。

 LGCのレースは基本的にヨーロッパアルプスの山岳エリア・氷河地帯でレースを行うため、すべて個人ではなくチームレースである。メッツァラーマとPDGは3人、ピエラメンタは2人のチームで競技に参加する。

 LGC出場に際して困難は多かったが、ビック3に参加しながら学ぶことができたスキーアルピニズムの世界観は、何ものにも代えがたい貴重な経験だった。リフトを使って整備されたゲレンデを滑ることが主流となった現在のスキーだが、スキーで山を滑る、そのためには自分の足で登り、困難への挑戦は自己責任の下に判断をする。それこそがスキーアルピニズム。そんなスキーアルピニズムがSKIMOの人気を支えている。ビック3のレースは大会という形ではあっても、スキーアルピニズムに満ちあふれた、山と自分の可能性への挑戦だった。