●概要

尾瀬ヶ原には整備された木道が延びる。1泊2日で尾瀬ヶ原トレッキングと至仏山登山を組み合わせたプランもオススメ

 標高1,400mに広がる本州最大の湿原が尾瀬ヶ原。この湿原を従えるようにやわらかな山容を見せるのが至仏山だ。尾瀬ヶ原を挟んでエリア最高峰の燧ヶ岳(ひうちがたけ)(2,356m)と対峙し、周囲の美しい景観を作り出している。

 尾瀬トレッキングは、尾瀬ヶ原や尾瀬沼周遊のアップダウンが少ないものが人気だが、至仏登山も負けてはいない。なお、植生保護のために、山頂から山の鼻への下山禁止と、5月ゴールデンウイーク直後から6月下旬の残雪期は入山禁止が守られている。

●ルート&見どころ

 群馬県片品村戸倉から山岳バス、またはタクシーを利用して鳩待峠へ。こちらが出発点。鳩待山荘前の登山道からブナ林の緩やかな道を登っていく。しばらく行くと急勾配に変わる針葉樹の一帯に至り、さらに前を急ぐ。途中右手に開けた空間からは至仏山の全容が現れる。小湿原を抜けオヤマ沢田代まで到着すると小至仏山(2,162m)が見える。この先は森林限界の気持ちのいい木道歩きが続く。ここから至仏山頂までは展望も素晴らしい。岩稜帯もあるが、1時間余りの稜線歩きは花畑も広がり、気持ちのいいルートとなっている。

7月上旬まで見られるワタスゲの大群生

 至仏山頂上は360度のパノラマが広がる。正面に存在感ある燧ケ岳、谷川連峰の峰々、下方に尾瀬ヶ原が広がる眺望は見ごたえあり。山頂部に設けられたテラスやベンチからこれらの景色を楽しみながらのランチタイムはオススメ。展望を楽しんだら下山は来た道をそのまま引き返す。なお、山頂から尾瀬ヶ原側にも高天原登山コースがあるが前述のように下りは禁止となっている。

●山ノ鼻からの周回ルート

 鳩待峠から尾瀬ヶ原方向、山ノ鼻まで進み、そこから至仏山を目指す周回コースもある。下り禁止の高天原コースを登るもので、山ノ鼻から山頂までは、整備された登山道で約3時間余りを要する。山頂、尾瀬ヶ原、燧ヶ岳を望みながら歩ける気持ちのいいコースで、頂上から先は、小至仏山~オヤマ沢田代~鳩待ち峠のメインルートを戻る。

 日帰りでも可能だが山ノ鼻にある山小屋やキャンプ場を利用して、初日は尾瀬ヶ原一帯のトレッキングを楽しみ、翌日に至仏山登山という1泊2日とすれば歩き応えはさらに広がる。

●ゴールデンウイークの雪山登山

至仏山への雪山登山

 鳩待峠への道路規制が解かれる4月中旬から5月のゴールデンウイーク中は至仏山への雪山登山が人気となる。夏道を登山靴にアイゼンを付けて登るのだが、春雪は歩きやすく天候さえ良ければコース上の木々には目印となるリボンもあるので歩きやすい。連休中は多くの登山客が訪れるなか、下山はスキー、スノーボードで滑って下りるという者も少なくない。残雪時の植生保護規制前の2週間ほどがお楽しみ期間だ。例年、連休終了とともに残雪時立ち入り禁止期間が始まる。