■見どころその3 自然と一体化したように感じられる薬力社

 熊鷹社と新池、三ツ辻を通過すると、四ツ辻がある。四ツ辻から稲荷山の山頂まではルートが二手に分かれ、坂道と階段が続く道か、平坦な道と急な階段が交互に現れるルートのいずれかを選択する。

 筆者は、後者であれば最後の階段がかなり急で長く、休憩するスペースが少ない印象を受けたため、前者のルートで足を休めつつ、ゆっくり稲荷山を登ることをおすすめする。

 四ツ辻から稲荷山山頂の一ノ峰をぐるりと一周する途中には、薬力社(やくりきしゃ)がある。無病息災や薬効にまつわる神々が多数祀られている、「稲荷山の健康スポット」だ。薬力社のすぐ近くには、岩肌を覆い隠すように大量の祠(ほこら)と鳥居が並べられている。石でできた鳥居と祠(ほこら)は薄っすらと苔むしており、周囲の山々の景色と同化しているようだ。

薬力社で見られる「薬力の滝」(撮影:加藤和花)

 薬力社の周辺では、常に水が流れる音が響いている。水音の出どころは、薬力社から少し奥まった場所を流れる薬力の滝だ。小さな祠(ほこら)と鳥居に囲まれた小道を進むと姿を表す。

 この薬力の滝は、稲荷山では最奥部に位置する源流の滝である。稲荷山のお山めぐりで疲れた身体に、ひんやりとした空気が染み渡るようだ。すぐ近くにある売店では、ご神水で作ったコーヒーや健康たまごを販売している。

■稲荷山の往復の所要時間は約2時間! 京都での旅行プランに組み込みやすい

稲荷山には京都市内を一望できるスポットもある(撮影:加藤和花)

 稲荷山の往復の所要時間は、約2時間。寄り道したり、休憩時間を多めに取ったりすると、もう少し時間は延びるが、いずれにしても半日程度で1周できる。階段が多いため、足元はスニーカーで、足腰が不安な方はトレッキングポールも持っておくとよいだろう。

 稲荷山は、山頂の一ノ峰へと近づくにつれ空気が澄んでゆき、足腰の疲労を忘れさせてくれる。稲荷山ならではの、不思議な景色も見逃せない。カメラを片手に、京都旅行の特別な思い出を残しに行こう。

●伏見稲荷大社

・住所 〒612-0882 京都市伏見区深草薮之内町68番地
・電話 075-641-7331

・ホームページURL http://inari.jp/
※参拝時間はホームページよりご確認ください