3月になり、少しずつ日が長くなっていることを実感している。朝晩の冷え込みはまだ少し残るものの、日中の陽射しはずいぶんと暖かくなってきた。首都圏の低山には春を告げる花が咲き始め、季節の変化を楽しみながら山を歩く絶好のタイミングを迎えている。

 とくにこの時期は、まだ冬の余韻を残す高い山と春を迎え始めている街との間にある「丘陵地」が気持ちいい。辞書によれば、丘陵とは平地から見ると周囲より少し高く、山地から見れば低いところを指す。山岳地帯とは異なり、登りと下りを何度も繰り返す険しい起伏がないことが特徴で、山道は標高差が小さくて歩きやすい。

 市街地から近く、整備が行き届いた低山・里山。季節の変わり目に身体を慣らすには最適だし、山デビューの舞台としてもうってつけだろう。そんなわけで、今回はおすすめの丘陵地を首都圏から2つ紹介したい。

■【東京都・青梅丘陵】雑木林、尾根道、山城跡。フクジュソウの群生も!

樹々が芽吹き直前のこの季節、視界は遠くまで届く

 東京都の青梅市は、高い山岳を擁する奥多摩よりも都心部側に位置している、いわば奥多摩の玄関口だ。その地形は平地から丘陵地、そして山地へと変化に富み、市内のほぼ中央を多摩川が流れる。山あり川あり、緑の豊かな自然景観が抜群によい土地なのだ。

 その多摩川の左岸にあたる青梅丘陵は、標高300~500mほどの低い山々の連なりである。なだらかな地形にハイキングコースが整備されているため、週末にはたくさんのハイカーやトレイルランナー、散歩する地元の人で賑わう。JR中央線と青梅線を乗り継げば都心部からのアクセスも良好。登山を始めたばかりの初心者はもちろんのこと、熟練者ならトレーニングや気晴らしにいいだろう。

杉の木立に朝陽が差しこんだときの美しさは、青梅丘陵の魅力のひとつ