世界遺産「古都京都の文化財」に指定されている神社仏閣は、京都市内外に17ヵ所ある。特に大人気の場所といえば清水寺と金閣寺で、いずれも2023年2月4日時点でGoogleレビューがそれぞれ約4万件ずつ投稿されている。

 

 一方、高山寺のレビューは約1000件で、清水寺と比べるとおよそ40分の1の数だ。

 しかし世界遺産に登録されている以上、それ相応の理由があるはず。調べてみると、高山寺(こうさんじ)は僧として名高い明恵上人(みょうえしょうにん)が開基であり、国宝8件と重要文化財約1万2000件という大量の文化財を所有しているようだ。

 周囲を山々に囲まれ、1206年に明恵上人が創建した修行の場を、そのまま残していると思われる高山寺。一体どのような場所なのか、実際に訪れてみた。

■山の斜面を切り開いたような境内

高山寺の一番奥・金堂の前からの景色(撮影:加藤和花)

 高山寺最寄りのバス停・栂ノ尾(とがのお)で下車すると、目の前に急な山の斜面が切り立っている。バス停のすぐ近くには「裏参道」と書かれた看板があり、ここから境内へ入ってゆく。「表参道」も別の場所にあるが、車がスレスレの狭い道路の脇道を通る必要があるため、裏参道から行った方がよさそうだ。

 裏参道から石を並べて造ってある階段を登り、参拝することにする。三方を高尾山、峰山、沢山に囲まれた高山寺は、境内だけ山の斜面を切り開いており、「秘められた修行の地」という印象を抱いた。