兵庫県三田(さんだ)市の北部に位置する標高653.1mの「大船山(おおふなやま)」は、三角の山容が美しい山だ。しかしその山容ゆえ、山頂付近は坂が急過ぎてしんどいというウワサである。そんな山は、暖かい時期だと暑さで参ってしまうかもしれない。そこで、行くなら厳寒期の今がチャンスとばかりに大船山に行ってきた。

■積雪の大船山

大船山の簡単な地図(画:野口宣存)
大船山、カナディアン大磯登山口(撮影:野口宣存)

 大船山山頂へはいくつかの登山口がある。今回はそのなかでも距離は短いが、傾斜が一番きつい、「カナディアン大磯」登山口ルートを選んだ。「カナディアン大磯」は、関西最古のアスレチックを併設するキャンプ場である。

大船山登山道に鎮座するお地蔵さんたち(撮影:野口宣存)
大船山登山道にある地蔵堂の素朴な看板(撮影:野口宣存)

 登山口まではキャンプ場の敷地内を抜けていく。登山口からは、残雪が残る沢沿いの緩やかな登山道。その後、傾斜が少しきつくなってきたところで、最初の分岐に到達する。一つは山の反対側に下りる道、もう一つが山頂に向かう道だ。わかりやすい道標があるので、迷うことはないだろう。

残雪残る大船山登山道(撮影:野口宣存)
大船山登山道一つ目の分岐(撮影:野口宣存)

 分岐を山頂方面に向かって進むと痩せ尾根と谷が現れる。ここは目印のテープに従い、左の痩せ尾根へと進む。

大船山登山道に入って一つ目の分岐を過ぎたところ。左の痩せ尾根を進む(撮影:野口宣存)
大船山登山道の痩せ尾根。標高が上がるにつれ、積雪量が増えてきた(撮影:野口宣存)

 さらに登ると一つ目の分岐に到達する。一つは山岳仏教の遺跡でもある大舟寺跡方面へ至る道、もう一つは山頂に向かう、古代祭祀(こだいさいし)遺跡の残る最難関ルートだ。