■“ととのう”ためのサウナの手順とは?

 ごくたまーに、まだサウナの中にいるのに「フー! あっちー! ととっのてきた〜」と言っている若人がいるが、多分それはのぼせているだけだ。昔の僕もそうで、正直サウナは「熱さ我慢比べ選手権」だと思っていた節があり、なんか知らんけど根性を試す場だと勝手に思っていた。そしてサウナを出て、そのままシャワーを浴びて浴場から出ていくという、今思えばMOTTAINAIの極みのような愚行を冒していたのである。

 “ととのい”に定義がないとはいえ、ある程度そこに至るための手順というものはある。まずサウナ前にやっておきたいのが、「水分を取る」「体と頭を洗う」「タオルで体の水滴を拭き取る」ってこと。その後、以下のような順番で入るのが一般的だ。(ちなみに食後すぐや飲酒後はやめておくこと)

1:サウナに入る(6〜15分ほど)

 体が温まり、じんわりと汗が出て、自分が気持ちいいと思える範囲内でOK。個人差があるので、絶対に無理をしないこと。サウナ内は段差が上の方ほど温度は高いので、慣れないうちは下段でじっくり温まろう。僕はせいぜい8分くらいしか入らない。

2:水風呂に入る(1〜2分ほど)

 汗をかけ湯やシャワーで流し、息をフ〜っと吐きながらゆっくり水風呂に入っていく。最初のうちは「うそだろ?」ってくらいに冷たく感じるが、慣れると驚くほど平気になって極上のご褒美タイムとなる。喉元の呼気に冷気を感じたら出る合図。

3:外気浴をする(5〜10分ほど)

 必ず体の水滴を拭き取り、その後でチェアに腰掛けたり、リクライニングチェアに寝そべってリラックスする。血流が脳にまでドクンドクンと巡っていくのを感じながら、そのふわふわ感にただただ身を委ねる。夏場は大の字に近いポーズで体の熱を逃し、逆に冬場は脇と腿の付け根をしっかり密着させて熱が逃げないようにしよう。

 適度に水分を補給しながら、以上の1〜3を3、4セット行う。

 1はスポーツのような汗をかく気持ち良さ、2は夏場に川に入るような爽快さ、そして3では言葉にならない“ととのい”の世界を味わう。1セット目よりも2セット目の方がサウナにも水風呂にも長く入れるようになって、外気浴での“ととのい”の可能性が上がっていく。

川サウナの水風呂はもちろん川。外気浴では鳥の声と川のせせらぎが心地いい

 “ととのい”がもたらすものは、単純に快感だけではない。疲労回復、ストレス緩和、寝つきが良くなる、肩こりや腰痛の解消、美肌と痩身効果、自律神経の安定など、もはや「やらない理由が見つからない」ほどのメリットに溢れている。

 ちなみに上記の手順を行っても、 “ととのう”という感覚に至れない場合がある。これはサウナの環境や自分の体調、また個人差によっても“ととのい率”というものは変わってくるからだ。サウナ内と水風呂の温度の寒暖差にも大きく影響されるので、いろんなサウナに入って自分に合った温度設定を探るのもいい(僕はサウナ95℃で湿度高め、水風呂15℃がととのいやすい)。人によってはサウナの前に水風呂に入ったほうが調子がいい人もいたりするので、基本形にとらわれず、自分が心地いいと感じるポイントを探してみるといいだろう。